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花様年華 -僕たちの生涯で一番美しい日-




花様年華 NOTES1の半分くらい(140p)からの考察。いやまてよ前回の記事読み直したけどただただ長いだけでこれといった考察はしてなかったな。まあ物語の最初は状況説明が多くなるし。考察しようにもほら、あれだから。ちなみに殴り書きの考察メモを整理して前回の記事に一部加筆してるので気が向いたらぜひ。といっても約2万1千字が2万4千字になっただけだし、この文字数になるとどこに加筆したとかわからんと思う。自分でももうわからん。

前回に引き続き、泣く子も黙るオープンスケベによるネタバレおよび個人の考察、ド素人見解さらに長文記事(約5万字だけど引用が多いから考察自体はそこまでないと思う)(にしても多すぎるだろ)になっているので最近よく眠れていないなど体に不調がある方や、疲れが溜まっている方には大変苦しい内容になっています。該当する方は今すぐその携帯を窓から捨てて可及的速やかに寝ることをおすすめします。LOVE YOURSELF。

他の方の考察等は一切読んでいませんので(と言いつつ韓国アミのMV翻訳は見た…韓国語が難題すぎる…)、解釈違い等が大いにあると思います。なお、これはNOTES1を基にしたわたし個人の見解であり、事実とは異なります。時系列ではなく、NOTESの通りになっています。時系列を見たい場合は前回の記事にTLを載せていますのでそちらを参照してください。わたしの考察はこういう見方もあるんだ〜くらいに思っていただければ何万回も叩かれ続けたキーボードも報われると思います。新規ですが花様年華については何ヶ月もかけて自分なりに噛み砕いて理解し、自分の整理ついでですが、やっとの思いで文字に起こしたものなので文章の模倣等はおやめください。考察なので被ることは重々承知していますし、わたしの考察を読んで共感していただけるのは嬉しいですが、あたかも自分のもののように引用する行為はやめていただきたいです。この記事だけでなく、他の記事についても同様です。自意識過剰ですみません。



それではイッテミヨ!!!!!!!



















とりあえずみんな生きてるしオッケーということで。
整理すると、
ナムジュン→ソクジンが来たことで客と喧嘩せずに拘置所回避
ユンギ→ジョングクが助けに来たことで焼身自殺回避
ホソク→ジミンに手を引かれたことで階段転落回避
ジミン→ホソクを筆頭にみんなが病院に来て病院脱出成功
テヒョン→ホソクが戻ってきたことで父親殺害回避
ジョングク→ユンギから電話により飛び降り自殺回避

ソクジンの幾度ものループでとりあえずは全員生きてるのでここではループ成功判定。でもソクジンは!!!??ソクジンは誰にも助けられてないよ!!!??助けてばかりというかほぼ当て馬でソクジンも助けられなければならない側だというのに、一体誰が助けてくれるってんですか?今後の展開が楽しみです(北海道在住・OL)


花様年華 NOTES1 140pからだよ。レッゴー!




22.05.22 ジョングク
誰かに肩を揺すられて目を開けると車窓いっぱいに海が広がっていた。静かだった海辺に突然、砂嵐が吹き荒れ砂が目に入った。「こするな。傷になる」ホソク兄さんの声にゆっくり瞬きをした。瞬きを繰り返すと涙がこぼれ落ちた。白い砂浜の真ん中で涙を流して立っている僕を見て兄さんたちが爆笑していた。僕をからかっている兄さんたちに向かって走る真似をしてホソク兄さんは逃げるふりをしながらいたずらっぽく走り始めた。走ったり逃げたりして僕たちはゲラゲラ笑い出した。「あの時も暑かった気がするけどいつだったっけ」ジミン兄さん。「6月12日だったじゃないですか」僕が答えると、なぜそんなに正確に覚えているのかとみんな驚いた。その日を正確に覚えているのは日付が書かれた写真を持っているからだった。誰にも話していなかったが、あの日、家族ができたように思えた。どうしてもありがとうを言いたくて「兄さん」と口を開いたものの、どう切り出したらいいのか思い付かなかった。兄さんたちは1人ずつ催促しては早く言えと飛び掛かってきて砂の地面を転がりながらふざけた。「どうしてここに1人でいるんですか?」みんなと離れて座っているテヒョン兄さんの隣に座った。答える代わりに「俺たちが初めてここに来た時もあれはあったか?」と兄さんが指をさしたのは展望台だった。「あの時もあったとしたら僕たちはきっと上ったはずだけど、そんな記憶ありませんよね」と答えると兄さんは頷いた。僕の蹴った砂がソクジン兄さんのズボンに飛んだが兄さんは振り返らなかった。
7人が集まるまでに1年10ヶ月、約2年かかってる。みんなで海に行くというのがわかりやすい区切りな気がする。“海に行く”というのは花様年華の中でもかなり印象的。YEAR19でもみんなで海に行くシーンがある。INUも砂浜だよね。ちなみに「肩を揺すられて」とあるので今回は歩いて行ったのではなく車で行ったのでしょう。そしてジョングクちゃん…よかったね家族ができて…。ジョングクの目線として、ユンギを筆頭に“初めて”の存在や出来事が結構重要な気がする。今まで空気扱いされていたのに爪を噛むのをやめろって注意されたり自分をかばってユンギが退学になったこと、飛び降りる直前に電話が来たこと、今回はさらっと書かれてるけど傷になるから目を擦るなって言われてることとか。砂が目に入ったからゆっくり瞬きをすると涙が流れたって書いてるけど、自分の居場所を見つけたことに泣いてしまったともとれる描写で好き。でも、気にかけてくれている!心配してくれた!庇ってくれた!っていう自分を構ってくれる“初めて”の刷り込みが強く書かれている気がする。ジョングクが置かれている家庭環境、クラスではもちろん最初は兄さんたちともうまく馴染めないほどの人見知り、それゆえにその“初めて”をド直球で受け取ってしまうというか。前回の記事にも書いた“人望がないユンギ”に懐くのってこの刷り込みのせいだと思う。ジョングクにとってユンギが依存先になるための描写がいくつもある。この日記の最後にある「僕の蹴った砂がソクジン兄さんのスボンに飛んだが、兄さんは振り返らなかった」がますますユンギ一筋になる理由を強調しているのでは。砂がズボンに当たったところでまず気付かないし振り返らなくても普通は何も思わないだろうけど、“気にしない”という行動がジョングクにとっては過敏になる出来事なわけで、皮肉にもジョングクの家庭環境とリンクしてしまっているのがメチャメチャ上手じゃないですか???雛が最初にみたものを親だと認識するように、ジョングクにとって特にユンギはそういう存在になったということ。空気の子(天気の子みたいに言うな)だったのに居場所を見つけて微笑ましい半面、紙一重というか純粋な心配や支え合いとかではなく一歩間違えばこの刷り込みは依存になりうる関係性。しかもジョングクもユンギも7人の中では死んだ方がマシっていう闇鬱情緒不安定属性だから尚更。まぜるな危険。もっとやれ。

22.05.22 テヒョン
この全て見た覚えがある。生々しすぎて本当に経験したように感じられる夢の中でこの海を、俺たち7人を、高くそびえ立つ展望台を見た。夢の最後は展望台に上って立っている場面だった。みんなが俺を見上げ、互いの顔が鮮明に見える距離ではなかったはずなのに俺は下に向かって笑って見せた。まるで別れの挨拶をするかのように。そして飛び降りた。「あっソクジン兄さんだ」ジョングクの声に顔を向けるとソクジン兄さんが展望台に上っていた。俺たちを撮ろうとしているようだった。みんなは手を振ったが俺は振れなかった。夢の最後と同じだったからだ。俺ではなく、ソクジン兄さんが上ったことだけが違っていた。拳を強く握ったわけでもないのに手のひらの傷が痛かった。深く切ったと思っていた傷は意外と簡単に癒え、今は赤い傷跡が残っているだけだった。たまに猛烈に痛むこともあった。罰を受けているように思えた。俺がしでかした全ての過ちに対する罪。今もそうだった。
映像を観るとわかるんだけどメチャ高い展望台からテヒョン飛び降りるよね。映像ではテヒョンが飛んだところで終わってて、その後はどうなったとかは全くわからない。「まるで別れの挨拶のように」からすると、テヒョンはみんなで行った海で展望台から飛び降りて死んだのでは?(後述の映画インセプションから推測するとキックの可能性が高い)テヒョンはホソクによって父親を殺さずに済んでループ成功!かと思ってたけど、テヒョンが飛び降りて死ぬことによりループ成功の世界線でも失敗の世界線でもテヒョンだけ救えてないということになる。(後述の映画インセプションから推測すると以下略)あくまで22年5月22日までのループの話だけど、さすがに飛躍しすぎ?でもテヒョンが見る夢は実際の世界線なわけだしテヒョンの父親が死ななければテヒョン本人が死ぬっていう…。どちらにせよ地獄には変わりない。

22.05.22 ナムジュン
「たった1歳しか違わない。わかってる、俺が年上だよ。でももう子どもじゃないんだし今は自分で何でもできるようになったんじゃないかってことだ。別に怒ってるわけじゃない。ごめん」電話を切って地面を見下ろした。胸が苦しくて今にも張り裂けそうだった。砂と土が半分ずつ混じった地面にはアリが列を成してどこかへ向かっていた。両親を愛していないわけではない、弟のことが心配にならないわけではない。できれば顔を背けたいが俺という人間はどう転んでも俺でしかないからそうはできないだろう。いつだったかジョングクが「兄さんみたいな大人になりたいです」と言った。俺はそんなにいい大人じゃないと、いや大人でもないとあの時は言えなかった。そう言うことが残酷に感じられた。寄せてもらって当然の信頼や関心や愛情を寄せてもらえなかった年下の友達に、年を取ったからといって何年か長く生きたからといって大人になれるわけじゃない。そう言ってやることはできなかった。ジョングクの未来が俺の未来より優しいものであることを願っているがその過程で俺が助けになってやるとは約束できなかった。
電話の相手はおそらく親?とりあえず弟はグレてないで働け。“アリが列を成してどこかへ向かっていた”って“どこかへ向かうアリを見たことはある?”では!!?と思って興奮しちゃったよ、意味合い違うのに。ナムジュンもう「怒ったり苦しんだりすることにどんな意味があるのか?」って疲れちゃってるもん。そらそうだ。Lostって色々な挫折や苦悩を味わった、でもいつかは乗り越えられるみたいな歌詞だけどまだ“いつかは乗り越えられる”のマインドになってないよね、ていうか、そらそうだ(2回目)。村で“テヒョン”という友達が死んだつらさ、家族の大黒柱…って自分も相当きついはずなのに、ジョングクの未来が優しいものであってほしいと思えるの大泣き。拘置所は回避したけど頼られることや兄さんみたいになりたいって思われるのが本当は嬉しいはずなのにそれがナムジュンを苦しませていて心が救われてなくてつらい。年上に相談しな!って思うけどソクジンはお金持ちお坊ちゃんだから相談しにくいだろうし、ユンギはクズだからダメだしどうしようもない(怒られろ)。

22.05.22 ソクジン
もう一度、友達の方を振り返った。他愛のない話をして笑い、騒ぎ、今目の前で起きている光景が信じられなかった。数え切れないほど試行錯誤を重ねて今に至った。切実すぎるあまり永遠にやってこないだろうと思っていた瞬間でもあった。それにも関わらず心の片隅にわだかまりがあるのはまだ打ち明けていない話があるからだ。僕は話があると言って口を開いた。テヒョンだけが僕を見た。テヒョンは数日前に会いに来て自分が見た夢について話した。「兄さんはわかっていますよね」と急き立てたが、それは夢に過ぎないとだけ言った。テヒョンは怒って帰って行った。全て嘘だったのではない。テヒョンがなぜそんな夢を見るのかはわからなかった。しかしその夢がどれほど酷なものなのかはわかっていた。だからますます事実を話せなかった。父を殺そうとしたのは夢の中の出来事ではないという事実を、それは実際に起きたことでしかも繰り返し起きたという事実をテヒョンが知る必要もなかった。事実を話さないことでテヒョンから恨みを買うことになるとしても構わなかった。「もっと早く話すべきだったけど高校の時…」テヒョンが話を遮って「高校の時?校長のスパイをしながら僕たちのことをチクった話ですか?それともそのせいでユンギ兄さんが退学になった話ですか?どっちの話をするんですか?」いきなり割って入ったテヒョンの声には非難の色がありありと見て取れた。「テヒョン」ナムジュンが制止するようにテヒョンを呼んだ。ナムジュンの手を押しのけ「それ全部兄さんがしたことじゃないですか」誰も口を開かなかった。僕はうつむきながら言った。「悪かった」次の瞬間テヒョンがもう一度口を開いた。
せっかく、ようやく、7人で集まれたのに。ソクジンは空き教室にユンギとジョングクがいるとは知らずにチクったわけだし、テヒョンが怒る理由もナムジュンがみんなに言わなかったのも、全部お互いを思っての行動なのにつらいよなあ。ソクジンは例外だけど。ちなみにUSの方では校長に「ミンユンギを監視しろ」って言われているんだよね。なぜユンギ?NOTESには空き教室にユンギとジョングクがいるとは知らなかったとあるし、奇しくもユンギを売ることになったということ?媒体のこういうちょっとの違いにモヤる。今からでもいいからどうにかしてほしい。教師の腹いせだとしてもユンギは退学になってるわけだし「悪かった」の一言で終わらせられたらたまったもんじゃないな。サボってたのが悪いと言われたらそれまでだけど退学ってでかい出来事だし怒ってもいいと思うよ。ごにょごにょうんちく言ってないでさ(かわいい)(言ってない)。ジョングクだって庇ってくれたことに嬉しさを感じながらも「自分のせいでユンギ兄さん…」ってピアノ撫でてユンギのこと想ってんだからさ(語弊)。

22.05.22 テヒョン
「兄さんそれだけですか?隠してることが他にもあるんじゃないですか?」俺はソクジン兄さんを睨んだ。もう一度急き立てようとした瞬間、誰かが俺の方を掴んだ。振り返らなくてもわかった。ナムジュン兄さんだった。「兄さんは口出ししないでください。兄さんには関係のないことでしょう?本当の兄さんでもないし」顔も向けないまま兄さんの腕を振り払った。俺は今、ナムジュン兄さんに八つ当たりをしていた。ナムジュン兄さんが電話で話しているのを聞いた。兄さんの話に間違いはなかった。僕は兄さんよりわずか1つしか年下でなく本当の弟でもなかった。自分のことは自分でしなければならないというのも、その通りだった。でも寂しかった。「テヒョン、悪かった。だからこの話はもうやめよう」口を開いたのはソクジン兄さんだった。「何をやめるんですか。どうせなら最後まで話してください。兄さん、隠してることあるじゃないですか」全員の視線がソクジン兄さんに向けられた。ソクジン兄さんが頼むからやめようと言いたげな表情を浮かべていた。ナムジュン兄さんがもう一度、俺の腕を掴んだが振り切った。兄さんは手に力を入れ引っ張っていこうとした。「放してください。何の権利があって止めるんですか?兄さんは何を知ってるんですか?何も知らないくせに。兄さんは自分がすごい人だと思ってるんでしょう?」その時だった。兄さんが急に腕を放した。俺はその反動でややふらついた。いやふらついたのは反動のせいではなかった。兄さんが腕を放した瞬間、縛られていた輪の真ん中がぷっつり切られるような気がした。支えてもらいながら脚を踏みしめて立っていたものにひびが入り割れるような気がした。もしかしたら俺は兄さんが最後まで腕を放さないことを願っていたのかもしれない。まるで本当の弟に対するようにもっと叱ってほしいと願っていたのかもしれない。しかし兄さんは腕を放した。無意識のうちに笑いがこぼれ、吐き捨てるように言った。「一緒にいるのがそんなに偉いことですか。僕たち、お互いにとって何なんですか。結局はみんな1人じゃないですか」ソクジン兄さんが俺を殴ったのはその瞬間だった。
テヒョンはソクジンに何を言わせようとしてる?ループに気付いててそれを言わせようとしてる?スパイの詳細?ソクジンも、父親と校長にスパイを強要されて…ってちゃんと話せてたらここまでこじれなかったわけで。テヒョンの夢で起こったことが現実だということ、またはこれから現実になるということを言わせようとしてるのか?ここでは何を言わせようとしているのかは曖昧なんだけど「ハハ、そんなただの夢だよ」とか言われても信じられないくらいリアルな夢なわけだし、ていうか海に行ったのを夢で見てるからな。このままだとテンヒョンの心がおかしくなってしまう!ついでにわたしもおかしくなりそうだから(手遅れ)誰かわたしを抱きしめて!!?ナムジュンの電話の内容はテヒョンのことではないのに自分とリンクしてしまって勘違いしちゃったんだよね。よしよし。夢でも現実でもそれぞれが酷な状況にあって、テヒョンが地獄のような夢をどうにかしたい気持ちは本当にわかるんだけど…。“本当の兄弟じゃないんだから放っておいて!!!”→“本当の兄弟みたいに叱ってよ!!?”→“結局みんな1人じゃんウケる”なのがすごく情緒不安定で、これぞ花様年華!って感じがしてとても良い。ジョングクにしろテヒョンにしろ、兄さんに抱く感情が“友情”というよりは“依存”の方がしっくりくる。ていうかテヒョンが情緒不安定になるくらいナムジュンのこと慕ってるの違和感。だってナムジュン、テヒョンのこと助けてないじゃん(言い方)。ジョングクとユンギの爪注意事件とか飛び降り自殺神回避事件のように、依存に繋がりそう!みたいな描写はないと思うんだけど。警察に迎えに行ったのも父親殺害を止めたのもホソクなのに、なぜホソクにはその感情を抱かない?しかも父親殺害未遂のときホソクを無理やり帰らせてまでナムジュンに電話してるし、ナムジュンはその電話にも出てない。ソクジンの誘導で殺害を阻止できたとは言え、無理やり帰らされたホソクが知ったらいくら希望と言えどさすがにイラっとするのでは…。ソクジンがスパイをしていることを知ってしまったナムジュン、それをこっそり見て知ってしまったテヒョン、なんかもう急に個人戦。スパイを知ったときに「大丈夫だろう」と思ってもこうやって結局大丈夫じゃない結果になったしキム三兄弟だけでもそこで誤解を解いていれば…。まあそれもこれもたらればだし、事あるごとに解決してたら花様年華成り立たないしな…。メタ考察はいかんな…。今回の喧嘩もキム三兄弟でわちゃわちゃしてるし(かわいい)、ナムジュンとテヒョンで助け合うんじゃなくてキム三兄弟でどうにかしないとならないのでは?ソクジン→ナムジュン→テヒョン→ソクジンで助け合えばうまくいく気がするけど…。テヒョンの父親殺害未遂のあとの電話に出るだけでテヒョンの精神面はだいぶ違うと思う。ソクジンはそこまで予想できていなかったのか…考えすぎ?ソクジンは“みんなを救わないと!”ということに躍起になって自分も誰かに救われなければならないのにそれに気付いてない。誰かソクジンのこと助けてよ!!でもやっぱりテヒョンがソクジンに夢のこと話してるんだからソクジンはテヒョンに頼っていればここまで大きなことにならなかった気がする。たらればですが。キム三兄弟でこじれてユンギ退学の件がさらっと流れてるしやっぱユンギはごにょごにょうんちく以下略。

22.05.22 ジミン
いつかは家に帰らなければならなかった。それは決して避けられないことだった。僕の嘘と真実を両親に話さなければいけなかった。両親が聞きたくなくても打ち明けなければならなかった。「ジミン、早く来いよ」ホソク兄さんが僕の方を振り向いた。「兄さん、僕はもう家に帰ります」兄さんはどういう意味かというように聞き返した。「家?」僕はこくりと頷いた。
ジミンは病院を脱出しただけで実は何も解決してないし、言ってしまえば今は“何も起きていない”。ジミンがしたことと言えば他人をマヌケ呼ばわりしてボコボコにしたくらい。ねえ、ちょっとおかしなこと言ってもいい?そういうの大好きだ!過去に見た“何か”を解決しなければジミンは救われないだろうしその“何か”も現時点では謎。ちなみにこの“何か”が明らかになるのはまだまだ。病院脱出直前に自問していた通り、病院を出た方がつらいのでは?病院にいれば酷な過去に向き合わなくても済むのでは?ソクジンはジミンを病院から出すことで救出判定としているのであれば大きな間違いですよ(誰?)。

22.05.22 ジョングク
体がふわりと浮いたと思ったが、いつの間にか固い地面だった。しばらくは何も感じなかった。ただ全身がとても重くまぶたを開けていることさえできなかった。つばを飲み込むことも息をすることもできなかった。意識が乱れる中、次第に周りが暖かくなると急に全身が発作的に揺れた。無意識のうちに目を開けた。頭が後ろに折れ曲がったのか世界が逆さまだった。その世界は月も逆さまにかかっていた。咳をして息をしようとしたが動かなかった。寒気を感じた。怖かった。口をしきりに動かしたが全く言葉が出てこなかった。目を閉じていないのに前がだんだん暗くなった。遠ざかる意識の中で誰かが話しかけた。「生きるのは死ぬより苦しいよね、それでも生きたいの?」
ここだけだと何が起きてるのかわからないんだけど、みんなで海に行った帰りにジョングクは車に轢かれてしまう。せっかく自分の居場所を見つけた帰りに事故、さらに生きてたらこんなに苦しいけどそれでも生きたい?ってひどすぎて泣いちゃうが。自殺回避したのに結局誰かが犠牲になれないといけない?変態ビッヒ(故)はいい加減にしろ。ジョングクに問いかけたのは葛藤するジョングク自身かな~暗示かな~なんならジョングクも夢オチかな~って思ってたけどUSで黒猫ウィズみたいなビジュのキュゥべえ(みたいな猫)が話しかけてきて「はにゃり?」ってなった。ちなみにUSはゲーム感がないから花様年華のエピソード理解にはおすすめ。選択肢によるエンディング分岐もないよ。USに限らずWEBトゥーンもNOTESには書かれてないことがあってお手軽だよ。わたしはビッヒの回し者じゃないよ。むしろ回され者で被害者だよ(?)パンPDがまどマギの感想ツイートするくらいだし少なからずインスピレーションは受けてるんだろうけど組み立て方が上手。まあ関係ないとは思いますが、7人の中で車持ちと思われるのはソクジンのみ。念のため覚えて帰ってください。

22.06.13 ソクジン
海から戻ったあと、僕たちはみんな1人だった。決めておいたかのように誰も連絡を取り合わなかった。街に残されたグラフィティ、照明が灯されたガソリンスタンド、古い建物から聞こえてくるピアノの音で互いの存在を察するだけだった。あの日の夜、飛び出していったテヒョンを見つけられずに戻った宿所には誰も残っていなかった。写真が1枚、床に落ちているだけだった。海を背景に気取っている写真の中の僕たちは一緒にいて笑っていた。わずか数時間前のことなのに遠い昔のように思えた。長い時間を繰り返し、努力を重ねてきたことは全て無駄だったのだろうか。結局僕たちはこんな風にバラバラになるしかなかったのだろうか。いつかまた会える日が来るだろう。写真の中のように一緒に笑える日が来るだろう。でも今ではない。まだだ。僕はガソリンスタンドの前を黙って通り過ぎた。まるで警告のように携帯電話が鳴った。液晶画面にはホソクの名前が浮かんでいた。「兄さん、ジョングクがあの日の夜、交通事故に遭ったそうです」
テヒョンに鉄拳かましてテヒョンはキレて出て行ったんだろうけど安定に情緒不安定でかわいい。でもまあソクジンは父親に強要されてスパイをしていたことを言ってないしテヒョンが信じてたのに!と思うのも致し方なし。ナムジュンの気持ち無視して「自分が偉いと思ってんの?」って言って鉄拳かまされるのも致し方なし。何回も言うけど、ループを繰り返して何回も地獄を見てきてようやく揃ったってのにさあ!!!変態集団ビッヒ(故)はそこまでして彼らに絶望を与えたいのかね!!?グラフィティとか聞こえてくるピアノの音でお互いの存在を確認できるってもしかしてメチャメチャ小さい村とかに住んでるんですか?どうぶつの森か何か?

22.06.13 ジョングク
かすかな話し声に目を開けるとホソク兄さんとジミン兄さんの顔が見えた。まばたきをするたびに兄さんたちの顔が現れては消えた。「怪我はひどいのか?」ジミン兄さんに聞かれた。「大丈夫です。痛くありません」嘘だった。深刻な事故だったそうだ。まかり間違えば命を失っていたかもしれない。医師がまだ安心はできない、まだ心の準備はしておくようにと言う日がかなり長く続いた。僕は10日ぶりに意識が戻り、驚くほど速い回復ぶりを見せた。「なんで連絡くれなかったんだ?ジョングクにとって僕たちは何でもない存在なのか?」ホソク兄さんが怒ったように声を荒げた。「兄さん、そうじゃなくて」僕は口を開けたが話を続けられなかった。病院で目を覚ました時に真っ先に思い浮かんだのは兄さんたちだった。誰かに連絡できたとしたらおそらく兄さんたちにしていただろう。鎮痛剤が強すぎて現実と夢と記憶と妄想が入り乱れ何ひとつまともに区別できない時もあった。耐え難い痛みはようやく治まった。しかし熱と不眠にうなされながら見た不思議な場面はなかなか消えなかった。自分の記憶が信じられなかった。何の話をどこから、どう切り出したらいいのかも分からなかった。僕はただ兄さんたちを見て笑った。いや笑おうとしたがたぶん顔が歪んで泣いているような表情になっていたと思う。
一歩間違えば死んでいたかもしれない大事故に遭ったのにちょっぱやで回復ってやっぱり筋肉モンスターだから?持つべきものは筋肉?(混乱)それでも生きたいかと問われた時にジョングクはなんて答えたんだろう。自分の居場所を見つけて、少しは生きたいと思ってくれただろうか。だからキュゥべえによって超人的な回復力を手に入れた?(混乱)(すぐ混乱する人)ジョングクが朦朧としている意識の中で見た夢が気になるところだけどすぐわかるでしょう(考察せぇ)。

22.06.13 ホソク
病室の外に出たのは涙が出そうだったからだ。大丈夫と言う言葉にさらに胸が痛んだ。ジョングクの事故を知ったのは今日の午後だった。ジョングクのクラスメートは「交通事故に遭って学校に来ていません」「学校に来なくなってもう20日になるかな」と言った。その場で電話をかけたがジョングクは出なかった。もう一度電話をかけようとしてチャットルームに入った。この約20日間、新着メッセージは1件もなかった。直近の内容は海に行った時のことだった。ふと、あの時だったのだろうかという考えがよぎった。チャットルームにメッセージを残した。ジョングクが大怪我をしたと。みんながどこで何をしているかは知らなくてもジョングクが怪我をしたというのに20日以上も知らないなんてあり得ないことではないかと。既読の数は一向に増えなかった。“僕たち”はこれほどまでに味気ない仲だったのだろうか。いい時は集まって群れていたが今はチャットルームさえ確かめない、そんな仲なのだろうか。僕自身に腹が立った。なぜ連絡をしなかったんだ。なぜあの時ジョングクを1人で帰したんだ。もちろんジョングクは子供ではない、でも友達の中では一番年下だった。まだ高校生だった。意味もなく廊下を行き来したあと病室の前に立った。何が大丈夫だ。顔に全く血の気がなかった。誰もいないアジトの教室の戸を開けて入ってきたジョングクの姿が浮かんだ。ジョングクは中学3年生だった。世間知らずのような顔に、何かが終わったことを悟ったような喪失感があった。その喪失感を僕たちがもう一度抱かせてしまったのだろうか。チャットルームのメッセージはまだ4人が未読のまま残っていた。みんな、ひどいな。もう一度メッセージを残した。ジョングクとジミンがダンスサークルの話をしていた。テヒョンから電話がかかってきたのはその時だった。「今頃、確認するとは、お前は一体、何をしてたんだ」僕は無性に腹が立った。テヒョンは半分泣いているような声でとつとつと聞いた。
泣いた。さすがにこんなもんは泣く。ホソクってジョングクと特別仲がいいというわけではないと思うんだけど、“母親に捨てられた自分”をジョングクに重ねているのかもしれない。だから人間関係をないがしろにすることに強く拒否反応を示しているのかも。連絡をよこさなかったジョングクや既読にすらしない友達に過剰に怒るのかと思うと泣いちゃう。ほいでテヒョンどうした?機嫌なおった?

22.06.13 テヒョン
「ジョングクは大丈夫ですか?」ようやく絞りだしたのはせいぜいそんな一言だった。コンビニのアルバイトを終えて外に出ると通りのあちこちに水溜りができていた。水溜まりに俺の姿が映った。しきりに涙がこみ上げ、うまく言葉が出てこなかった。ホソク兄さんはジョングクの病室にいると、心配していたより大丈夫だと言った。無意識のうちにその場にしゃがみ込んだ。「僕は大丈夫です」兄さんがジョングクに携帯電話を渡してくれたのか無理に平気なふりをするジョングクの声が聞こえてきた。「兄さんは大丈夫ですか?」「自分の心配でもしろよ」気持ちとは裏腹にぶっきらぼうな言い方だった。ジョングクがしょげたように笑った。「今すぐ行くよ」俺はその言葉を守れなかった。すぐに病院に着いたがエレベーターを待っている時間が惜しくて階段を駆け上がった。ジョングクの病室に駆け込もうとしてその場に立ち止まった。ナムジュン兄さんの声だった。ソクジン兄さんも一緒だった。無意識のうちにドアの脇によけた。「俺はいつもと変わらないよ」ナムジュン兄さんがそう言った。そうなのか。兄さんは依然と変わりなく過ごしているのか。俺は廊下のベンチに腰を下ろした。誰かに聞かれたら俺も変わりなく過ごしていると答えただろう。それは事実でもあった。毎日家とコンビニを往復し、父は相変わらず酒浸りで時々暴れた。変わったことが1つだけあった。それは夢だ。悪夢が止まった。ユンギ兄さんが死に、ジョングクが墜落し、ホソク兄さんが挫折する夢をもう見なくなった。代わりに他の夢が始まった。ソクジン兄さんが涙を流した。青い花びらが夜の街のアスファルトを転がって踏みつぶされ、誰かの血が花びらを濡らした。まだソクジン兄さんやナムジュン兄さんに会いたくなかった。
結論:かわいいテヒョン、まだ拗ねてた。テヒョンってナムジュンのことメチャ好きなのにいつも盗み聞きして勘違いしてひとりで暴走してる。ヘラるくらいならもっと素直に甘えたらいいのに…。それができないからヘラるのか…。俺がいなくてもナムジュン兄さんは平気なんだ…って落ち込むテヒョンかわいい。ユンギやジョングクが死ぬのはわかるとして(やめとけ)、ホソクは挫折=死という暗喩がちょっとリアルで怖い。正直ここまでNOTESを読んでもなぜテヒョンが現実めいた夢を見るのかよくわからなかったんだけど、これを母に言うと(わたしのリアルガチ母)レオナルドデカプリオか?と言われたんだけどそんなこと、ある?レオ様の話じゃなくてテヒョンの話してるってのに。ったく。これだからおたくの親は…。ということでインセプションという、レオ様と渡辺謙が出ている夢オチ映画があるんだけどインセプションのストーリーみたらメチャメチャ花様年華に通じるところがあるし、映画評論家みたいな海外アミのツイートに“Non,je ne regrette rien..wtf..”ってあったしほぼ確なのでは。元ネタについては別記事にしてるんだけど少しだけいい?(いいよ)母に言われてすぐインセプションを観たんだけど設定が複雑でルールがとにかくややこしい。誰かの夢に複数人で入ることができて、夢は多重構造になっている。夢の世界で夢を見るとそこは第二階層、さらに第二階層で夢を見ると第三階層に行く。階層が深くなればなるほど時間の経過は遅くなっていく。夢から覚めるには、つまり現実世界に戻るためには誰かが死ぬかキックという手法をとらなければならない(キックについては別記事に興奮状態で書いているので少々お待ちを)。現実の世界で自分が起きられない状況で死んでしまうと虚無の世界へ行ってしまう。テヒョンが展望台から飛び降りて死ぬ=夢から覚めるという暗喩かと思うといよいよ怖いな。インセプションの話は別記事で詳しく書いているのでここまでにして、わかる人にはわかりやすい例が(難)、炭治郎vs魘夢で炭治郎が夢の中で自死するということが現実に戻る条件だった、それです。夢だとわかって目覚めるため、夢の中で自死を繰り返していると次第に今目の前で起こっていることが夢か現実かわからなくなるというね。ていうか魘夢って名前アツいな。魘される夢って。ちなみにわたしの推しは伊之助と実弥。関係ないねごめん。

22.06.13 ナムジュン
ジョングクの病室に着いたのは真夜中だった。ジョングクは大丈夫そうだった。よく笑い、よく話したが本当に大事なことは何ひとつ話さなかった。ジョングクは聞くべきだった。あの日の夜、なぜ兄さんたちは喧嘩をしたのかと。しかしジョングクは聞かなかった。俺もそうだった。なぜ黙って宿所を出ていったのか打ち明けなかったし互いに投げかけるべき質問を黙って飲み込んでしまった。帰り道、ソクジン兄さんが俺に大丈夫かと聞いた。「ここに来るまでに一言も喋らなかったって気付いてたか?」俺はそうだったのか、すまない、大丈夫だと答えた。兄さんとはガソリンスタンドの近くで別れ、線路沿いを歩いた。後ろから4つ目のコンテナ。海に旅行に行く前、みんなでここに集まってキャンプファイヤーをした。あの日以来だった。テヒョンの知らせは聞いていないが事情が変わったとは思えなかった。テヒョンは父親を避けて来る所はこのコンテナしかなかった。俺はそれを知っていながらここには来なかった。テヒョンと不必要な感情の消耗に耐えられるほど余裕がなかった。ソクジン兄さんには大丈夫だと言ったがそんなはずがなかった。ジョングクが大丈夫なわけがなく、あの日の夜のことを全て受け止められるはずがなかった。あの日の夜、俺がみんなのそばに残っていれば、ジョングクと一緒だったら交通事故など起きなかったかもしれない。自分には全く責任がないかのようにジョングクの肩をぽんと叩き、早く元気になれと言った。するべき質問の前で、全ての岐路で俺は何も選択できずぼんやりと立っていた。
全員で集まれなくとも、海に行って以来の再開となるのがジョングクの交通事故ってやるせない。キム三兄弟の喧嘩のせいで他4人はとばっちりみたいなもんだし、みんな大丈夫じゃないんだから大丈夫じゃないって言いな~。ていうかユンギは???ジョングクはユンギに一番会いたいのでは???

22.06.15 ユンギ
不思議な夢を見て目が覚めた。誰かがドアを叩いたような気がして体を起こしたがもう何も聞こえなかった。夢で聞いた音だったのか。頭がズキズキ痛み、肩が凝っていた。明け方まで作業をしていた曲がずっと再生されていた。なかなか作業が進まず数日徹夜をしたが、いまだに糸口がつかめなかった。その曲が繰り返し再生されていたせいか俺は夢の中でかすかな口笛の音を追って霧の中をさまよっていた。大木の根元に生い茂った草の間にピアノの鍵盤が1つ落ちていた。半分ほど焼けた鍵盤は土の混じった木の葉に覆われていた。鍵盤に手を伸ばした。口笛の音などが全て消えたのは鍵盤に手が触れようとした時だった。次の瞬間、俺はこの作業室の真ん中に立っていた。向こうのピアノの前に座っているジョングクと俺の姿が見えた。ジョングクが何か言うと、俺はくすっと笑った。あれはいつだったろう。日にちは覚えていないがその場面だけは鮮明だった。そんなことは何度もあった。急に始まった音楽制作は順調ではなかった。最初はなかなか集中できず共同作業者と一緒に作業をすることにも慣れなかった。彼女は大胆で率直な性格だった。遠まわしに話したり言いよどんだりすることなくストレートに評価した。俺が煙草を吸おうとするとライターを取り上げ代わりにペロペロキャンディを投げてくれたり、ちゃんと寝ろとかご飯を食べろとか小言を言ったりもした。次第に作業室で過ごす時間が長くなった。作業に没頭し一度始めたら徹夜をするのが常だった。電話にも出ず、メッセージもチェックしなかった。気が立っているから誰かと話したり連絡したりしたくなかった。チャットアプリの通知も全て切っておいた。「明日の朝、病院で会う約束忘れないでよ」彼女がギターをしまって立ち上がったのは2時間ほど過ぎたあとだった。彼女は病院や学校で単独の無料公演をしてきたと言った。次の公演に一緒に行こうと誘われたのは先週だった。俺は何も答えなかったが彼女は勝手に俺も行くと決めてしまった。彼女が帰ったあともう一度ピアノの前に座った。音楽は悪くなかったが大事な何かが欠けているような気分だった。もう一度ソファに寝そべった。電話がかかってきたのはそれから間もなくだった。液晶画面にジミンの名前が出ていた。その時、前夜の夢の一部を思い出した。家が炎に包まれていた。誰かが俺に「中に誰かいるの?」と聞いたが俺は「いいえ、誰もいません」場面が変わり俺は明かりの消えた母の部屋に座っていた。母が言った。「あなたを身ごもらなかったら、あなたが生まれてこなかったら…」どうやって作業室を出て、そうやって病院に着いたのかははっきり覚えていない。病室のドアの奥に患者衣を着たジョングクが横になっていた。眠っているのだろうが、俺の目には死んでいるかのように見えた。「死ぬところだったと聞きました。意識が戻ったのは奇跡だと。あの日の夜、僕たちが海から帰ってきた日の夜だったそうです」ジミンの声が今も耳元に鮮明に残っていた。『あなたのせいだ』と言った。『あなたさえいなかったら』と言った。母の声、いや俺の声、いや誰かの声。楽器屋で偶然会った時、見なかったふりをしていれば、炎の中で俺があのまま死んでいたらこの全てのことは起こりえなかったのだろうか。ふらつきながら廊下を走り、病院を抜け出した。
ネタバレになるけどここから7人それぞれに女の存在がチラつく。でもあからさまな恋愛感情があるのはソクジンだけだから拗らせおたくは安心して!ソクジンペンのわたしは一旦横になるね…。これは完全に偏見なんだけど韓国アイドル好きな人って急にお母さんのことオンマって言ったり女のことヨジャって言ったりするよね。わたしは全編日本語でお送りしているので女のことは女と呼びますがビビらないでください。一匹狼風のユンギもさすがに焦ってジョングクの元に駆け付けたもののフラバしてジョングクと話すことなく出て行ってしまう。ナムジュンだけでなくユンギさえも“俺のせい”ってなっちゃうのやめれる?ユンギの母親が死んだ時にもどんな親だったかという描写は特になくて満を持して登場したけど、ちゃんとした毒親っぽくて安心。じゃないとここまでユンギが歪むわけないもん(失礼)。まあ幼少期に母親に“あなたさえいなければ”なんて言われてたら、ひとりでいた方がマシだと思うのも性格が歪むのも当然か…。当然か…?でも何はともあれジョングクの片思いじゃなくてユンギも夢に見るほどジョングクのことを気にかけてはいたってことだよなあ。かわいい!みんな親に問題があるんだけどヤンコチって親に期待されていないというか、認めてもらえず居場所がないという共通点があって生きるってなんすか?というのマインドが付きまとって自殺衝動が生まれてしまっている気がする。愛情を知らないからこそお互いに依存してしまったり。自分は死にたいのに相手には死んでほしくないと思ってるのに、必ずどちらかが不幸になるヤンコチってやっぱりかわいい!(不謹慎)

22.06.15 ジョングク
病室の外から聞こえてきた物音で目が覚めた。交通事故が起きた日の夜のことが、防犯カメラの揺れる白黒画面のように再現されたかと思えば心臓の鼓動が遅くなっては急に爆発したように高鳴りだすのが目に見えるように生々しく感じられた。するといきなり痛みに襲われ、誰かの囁き声が聞こえた。初めて使う松葉杖は慣れなかったが車椅子よりは楽だった。ベンチに座りスケッチブックを広げると通りかかった医師が親しげに話しかけてきた。こんなに早く回復するとは、世の中には本当に奇跡があるようだと言いながら肩を叩いてくれた。「真面目に生きなくちゃね」顔を上げると昨日、廊下で会った彼女が立っていた。彼女は世の中に奇跡なんかあると思っていなかったけどすぐ近くにあったと言い、気分はどうかと聞いた。僕は、ただ自分が健康なだけだと答えた。もう一度スケッチブックに目線を落とし夢で見た場面を無意識のうちに描いていた。僕は不意に顔をあげた。知っている曲だった。向こうで誰かが公演をしていた。確かに僕の知っている曲だった。これはユンギ兄さんの作業室で聞かせてもらった曲じゃないか。松葉杖をついて舞台の方へ近づいた。“Y.K.”と書かれたライターがギターにぶら下がっていた
ここから数行は考察に一切関係ないので飛ばしていただいて結構なんですが、わたしも交通事故で腰の骨を折って入院したことあるんだけど数日はマジで寝れない。骨折や全身のむち打ちの痛みで眠れないのではなく、目をつむると事故に遭う瞬間が目の前に再現される。夢とは思えないくらいリアルで、車のキーッ!ドン!ってぶつかる音とブレーキ音、車のライト、感触、痛みが一気に。事故直後はショックでフラッシュバックが起きる可能性があるからってあらかじめ睡眠薬をもらってたんだけど事故未経験のわたしは「またまた~」と思って(思うな)薬飲まなかったんだよね。案の定ナースコールを連打してボロ泣きした記憶がある。っていう。ただジョングクの事故のフラバについてわかる!!!って言いたかっただけなのにどうしてこんなに長くなるんだ。しかもジョングクはフラバとも違うのに。すみません。ご清聴ありがとうございました。話を戻して、ここのY.K.のK、何?ってずっと考えてるんだけど共同作業者の女の名前だよね。まさかわたしの名前?なわけないか(なわけないよ)。ユンギ、ジョングクが病院で眠っている姿を見ただけで話せてないんだよな。海に行った日以来、ユンギと会っていないジョングクはユンギの曲、ライター、Yの文字を見て何を思うのでしょうね…。きっとかわいいジョングクちゃんのことだから、僕のことは心配じゃないんですね事故に遭ったのにお見舞い来てくれることもなくどこぞの女とよろしくやってるってことですよね(ここまで一息)って思ってるだろうなマジかわいい。何しても直球ド真ん中で不幸に飛び込むからヤンコチって、いとをかし。

22.07.03 ジミン
ジョングクの病院に行ってからホソク兄さんは目に見えて機嫌が悪かった。僕たち7人を本当に“僕たち”として結びつけることができるとしたら、兄さんは一番後ろで“僕たち”の面倒を見てくれる垣根のような人だった。しかしそんな兄さんも見た目のように明るくて快活なだけではなかった。そう振舞わなければならないという責任感のようなものに近かった。周りの人の心の傷や苦しみに人一倍敏感で、誰よりも胸を痛めた。だから余計に明るいふりをして雰囲気を盛り上げた。僕がジャストダンスの一員になりダンスを習い始めたのは海への旅行から戻って間もない頃だった。長い間病院にいた僕は人と接することが苦手だった。兄さんと養護施設で一緒に生活をしていたというお姉さんを紹介してくれた。そのお姉さんは機嫌の悪い兄さんを笑顔にできる唯一の人だった。海から出て1人離れてバスに乗った日、僕は“両親の家”の前に立っていた。あそこが一度でも“僕たちの家”だったことがあっただろうか。両親はソファに座っていてリビングのテレビでは白黒の映画が再生されていた。「病院には行かない」僕はもじもじしてから言った。「心配しないでください。心配かけるようなことはしませんから。その代わり、病院には行きません」「今までどこにいたの?」母が聞いた。「友達といたんです」「友達?」「風呂に入って休め。これからどうするかはゆっくり考えよう」父が話を遮った。僕はぺこりと頭を下げると廊下の奥にある自分の部屋に入った。必死に気持ちを落ち着かせようとしたが簡単ではなかった。その日の夜、僕はほとんど眠れなかった。何でもいいから自分の好きなことを見つけよう。そして自分自身を証明しよう。立ち上がって鏡の前に立った。ターンはある程度、真似はできるがステップが何度ももつれた。お姉さんとは明日、合わせるとにしたがそれまでには何とかしてしっかり踊って見せたかった。「なかなかいいわね」という冗談っぽい誉め言葉の代わりに対等なダンスパートナーとして認められたかった
ジミンの親は体裁を守るためにPTSDを抱えた精神病患者の息子を病院の中に閉じ込めたいのかと思ってたけど意外とそうではない感じなのか?“臭い物に蓋を”というよりは自分たちに手がかからないのであれば好きにして、みたいな無関心な親なのだろうか。発作を起こして入院になった時、一応親来てるし(ホソクを押しのけた時)完全無関心というわけでもなさそうな。7人の中で一番リアルな毒親かも。ここでジミンを無理やり病院に戻したところで反抗すると思うんだよな。反抗されて事を荒立てると体裁もよくないしそれなら放っておくか、みたいな感じかな。にしても病院から抜け出した息子が帰って来て「どこにいたの?」って呑気すぎるだろ。白黒映画とかそんな洒落たものは観るな。“両親の家”でジミンに「これからどうするか」と言う父親の言葉に「家にいなさい」の意味が含まれていないような気がしてぼかぁ悲しいよ。

22.07.04 ジミン
気が付いた時は皮がむけるほど腕をこすっていた。手がぶるぶる震え、息を激しく吸っては吐いた。血が細い筋になり、前腕をつたって流れ落ちた。つい先ほどの出来事が断片的に浮かんだ。お姉さんと一緒にダンスを踊っていた時、集中力が途切れ、瞬間的に動線が乱れお姉さんにぶつかったあと、そのまま床にあおむけに倒れ腕が擦り剝けて血が出た。赤い血を見た瞬間、プルコッ樹木園での出来事が頭に浮かんだ。水に流れていく血を見下ろしながら次第に恐怖に怯えた。もう平気になったと思っていた。ところがそうではなかった。逃げなければならない、洗い流さなければならない、離れなければならない。そしてふとお姉さんも一緒に倒れたことを思い出した。外に飛び出すと雨が激しく降っていた。前方にお姉さんをおぶって走るホソク兄さんの姿が見えた。お姉さんは気を失ってるようで、だらりと垂れた腕が力なく揺れていた。僕は傘を持って兄さんを追いかけて走り、途中で立ち止まった。追いかけたとしても僕ごときにできることは何もないだろう。怪我をさせておきながら自分の前腕の血に驚いてぶるぶる震えるのが精一杯だった。ずっと前の遠足の日も、今日と同じように雨が降っていた。あの日、僕は泥の地面を転がるようにしてプルコッ樹木園から逃げ出してきた。僕はあの日の8歳の子どもから、抜け出せずにいた。
血を見て正気を失うくらいの、逃げなければならない、離れなければならないと思う出来事とは?きっと胸糞悪い出来事だろう。ていうか血にはトラウマがあるのに雨にはないんだ。ジミンが病院から抜け出したあと、プルコッ樹木園に行くバス停を何度も見送ってる時に現れたユンギに「一緒に行ってもらえますか」って頼んでたような気がするんだけど…おたくの都合のいい夢?みんなで海に行って、キム三兄弟の喧嘩でバラバラになって、極めつけはジョングクの事故。病院で寝ているジョングクを見ただけでユンギは血相をかいて出ていったわけだし結局ジミンとも話せず、プルコッ樹木園にも行ってないのかも。それともユンギは薄情クソ野郎だから断ったのかな。だったらおもろいな(やめろ)。

22.07.07 ホソク
足首はいっこうに治らなかった。数日前、小さな事故があった。今は小さな事故と言えるがあの時は深刻な状況だった。ジミンと彼女がダンスの練習中、ぶつかって倒れてしまったのだ。彼女をおぶって病院まで走った。遠い距離ではなかったが、彼女は意識がなく雨が降っていた。彼女が治療を受けている間、僕は廊下をうろうろしていた。片隅のベンチに座り、濡れた髪をはたいていたら彼女のカバンを落としてしまった。その中に飛行機のチケットがあった。先日、彼女が海外ダンスチームのオーディションに応募したことは知っていたが飛行機のチケットを取ったということは合格したという意味だろう。医師に呼ばれ、急いでチケットをしまい歩き出した。倒れた時に頭をぶつけ軽い脳震盪を起こしただけだからあまり心配しなくていいと言われた。「ホソク」彼女が呼んだ。何か言いたげな表情だった。「ちょっと待ってて、傘を買ってくるから」僕は彼女の言葉を遮り、雨の中を駆け出した。彼女が何を言おうとしたのか聞きたくなかった。おめでとうと言葉をかける自信がなかった。練習室に着くとジミンがいら立ったように待っていた。心配いらないと医師が言っていたことを伝えたが、ジミンはしょげた表情でずっとうなだれていた。翌朝起きると、足首が少し腫れていた。転んだわけでもなく、ただ少し足を滑らせた程度だった。シップを貼り、歩くときは気を付けたが徐々に状態が悪くなっていった。
ソクジンのループによってそれぞれに起こる悲劇を回避できたのにも関わらず、結局は最悪の結末を迎えてしまうのはホソクも同じ。もう不幸不可避。ホソク自身に生死にかかわるような出来事はないにしろ、怪我によりダンスができなくなることがホソクの死と暗喩しているのかも。実際のばんたんにもホソクが真ん中にいないとチームはとっちらかっていたと思うし(森を観た時に心の底からそう思った)花様年華の世界ではジミンが言っていたようにホソクはみんなを見守る垣根で、考えたくないけど“もしホソクがいなかったら”と思うとどちらの世界でも成り立たない。ホソクだけでなく全員にメタ解釈が必要となる。変態集団ビッヒ改め、性悪集団ビッヒとしよう。エアチケを見て、お姉さんが海外に行ってしまう=また“置いて行かれる”という気持ちから素直に喜べずおめでとうを言えない。そして養護施設でホソクと一緒に生活をしてきたお姉さんも、それを察してホソクには言えなかったみたいなストーリーがあったら泣いちゃうよ。

22.07.10 テヒョン
坂道と路地に続く町内を一気に走った。生まれてから20年ほど生きてきた町だった。通ったことのない曲がり角はなかった。しかし今はそんなことを考えている時ではなかった。警察に追われていた。つまらない想念などは忘れて、まずは逃げなければならない時だった。久しぶりにバス停にグラフィティを描いた。しばらく放っておいたスプレー缶を再び手に取ったのは、ある女の子のためだった。先日、コンビニで食べ物や生活必需品を盗もうとしたその子とぶつかった。特に言葉を交わさなかったが表情とまなざしだけでもわかった。世界のどこにも居場所がないような不安。全てのことは自分のせいで、過ちだと思う恐怖。特に何かを一緒にしたわけではない。ただ道端に座ったり線路沿いを歩いたりするくらいだった。そしてグラフィティを描いた。そして停留場にたどり着いた。ナムジュン兄さんがバスを降りる所だった。警察が頻繁に現れる所でもあった。ここでグラフィティを描いて捕まった記憶もある。病院でナムジュン兄さんを見かけた後も依然としてコンテナの近くを通った。父の酒癖の悪さに到底耐えられない夜だった。当てもなくやみくもに歩き回っているとコンテナの灯りがついているのが見えた。兄さんだろうと思った。中に入りたかった。でもなぜか気が進まなかった。今、警察はすぐ後ろまでぴったり追ってきている。身を隠したところは行き止まりだった。抜け出す方法がなかった。結局はこうなるのだった。素手で解決できることなど、世の中にはなかった。俺は路地の外に出た。両手を上げた。降伏だった。
テヒョンもまた、警察のお世話になることからは抜け出せない。6月13日のナムジュンの日記で、コンテナがテヒョンの居場所とわかっていても寄り付かなかったのに1ヶ月経った今はコンテナの灯りがついている。ということは、いつでも来いというナムジュンからの合図だと思うんだけどテヒョンはかわいいので素直になれません。あんなこと言った手前、頼ることはできないって思ってるんだろうな。でも会いたい気持ちはあるからコンテナの近くを通ったり停留場に来てみたり。実際のテヒョンも花様年華のテヒョンも純粋でかわいい!警察に捕まる今の状況も、酒癖の悪い父親の面倒を見なくてはならない今の状況も何ひとつ変わらなくて行き止まり、手放しでは解決できなくて“降伏”というのはダブルミーニングだろうか。グラフィティで捕まることは自分のせいだとしても、テヒョンしかりナムジュンしかり、自分ではどうにもできない外的要因のせいで不幸になってる節がある。なんとかしようにもひとりでは無理だしやっぱりキム三兄弟でどうにかしないといけないと思うんだけどみんなどう思う?(諦め)

22.07.13 ナムジュン
ガソリンスタンドのアルバイトを夜間に回し、図書館に通い始めて1か月が過ぎた。図書館の窓の外を眺めるのが日課で、どんな本を広げたらいいのかわからず雑誌ばかりめくっていた。閲覧室を埋め尽くした人たちは何をしているのだろう。果たしてこの人たちに追いつけるのだろうか。しかし、どこから始めたらいいのか何から始めたらいいのかわからなかった。飽きるほど見慣れたこの風景が窓の外を通り過ぎていった。果たして、この風景から抜け出す日が来るだろうか。明日を見通すこと、何かを望むこと自体が不可能だと思えた。バスの前方に乗っている彼女の後ろ姿が見えた。彼女が歩道橋でチラシを配る姿を見た後、図書館のロビーで偶然出くわした。同じ停留場でバスに乗った。一言も言葉を交わしたことはなかったが、同じ風景で、同じ時間を生きて、同じため息をついた。意図したことではないが時々、自ずと目線が向いた。ズボンのポケットにヘアゴムがまだ入っていた。黄色いゴム紐で髪を結んだ彼女の姿を見た後、思わず街頭で買ったものだった。彼女が降りる停留場が近づいてきた。誰かが停車ボタンを押し、数人が降りたが彼女は眠っているようだった。俺が降りてしまえば誰も彼女のことを気にしないのは明らかだった。すでに乗り過ごした彼女はこの後、さらに遠い所にたどり着いてから、ようやく目を覚ますだろう。それによって今日がどれほど疲れた1日になるかわからなかった。俺が降りるとバスは出発した。俺は振り返らなかった。彼女のカバンの上にヘアゴムを置いたがそれが全てだった。数日前、この停留場に降りた時見たことのないグラフィティが描かれていた。無意識に周囲を見渡したがテヒョンの姿は見えなかった。地面に乱雑に転がっているスプレー缶から推測すると、慌ててここから離れたようだ。
今までナムジュンほど本を読んでいる姿がしっくり来るアイドルに出会ったことがないんだけど、メチャメチャえっちぃくないですか!!!!??数々の本を読んで吸収して、言葉遊びが上手で脳のシワすらもセクシーに生まれてきたナムジュンって何者!!!!??(リアルMISS RIGHT)急に大きな声出してごめんね。これだから過激派おたくは。きっとこの女も(これが過激派の呼び方)、ナムジュンと同じ境遇なのだろう。スタンド使い同士ってのは…どういう理由か正体を知らなくても知らず知らずのうちに引き合うんだ…。話を戻して、“選択の岐路で何もできない”と言っていたナムジュンはここでも彼女を起こすか迷い、結局はヘアゴムを置くだけで何もすることはできない。でもこれに至っては正解だと思う。知らない人に「最寄り着きましたよ」って起こされたら一生そのバス乗らないし最悪引っ越しまであるじゃん。変に話しかけて通報されて拘置所にぶち込まれる結果にならなくてよかったよ。ソクジンもそれをループで助けるのはやるせない気持ちになる思う。それでもせっかく勇気を出してヘアゴムをカバンの上に置いたんだろうけど、乗り過ごした!て飛び起きたらそのゴムに気づかないと思う…。なんかごめん…。これは本当にどうでもいい話なんだけど輪ゴムで髪結ぶとメチャメチャ痛いよね。

22.07.14 ソクジン
ナムジュンと屋台に並んで座った。午前0時を過ぎていたが屋台には苦い酒で一日を締めくくる客が少なくなかった。電話がかかってきたのは午後だった。ガソリンスタンドのアルバイトが終わってから会おうということだった。会ってから今までナムジュンは特別な話はしなかった。何かあったのか聞くと笑って首を振った。「生まれてから今までにあったことは何一つ変わらず、そのままです。よくもならず、悪くもなりません」ナムジュンは無力だと言った。何もしてやれないのに友達のふり、兄さんのふりをしていたと思うしテヒョンに会わなかったのもジョングクにもう一度会いに行かなかったのもそのせいだと。それは全て言い訳で、自分は本当に何でもない人間で、ただ言い訳を並べているだけだと言った。高校の頃を思い出したのは酒がかなり回った後だった。テヒョンが海辺で暴露してしまったあの事件。ナムジュンはなぜ僕をかばってくれたのだろう。「兄さんはあの時なぜあんなことをしたんですか?」ナムジュンが答える代わりに聞いた。あの時、僕はなぜあんなことをしたのだろうか。母の死、LAの母の実家で過ごした子どもの頃、韓国に戻った時、父が見せた冷ややかな顔、その後も家族のぬくもりを感じたことは一度もなかった。酒の勢いなのか、夜の空気のせいなのか僕たちは今まで打ち明けたことのない話をさらけ出した。「僕は兄さんのことをもうだいぶ知ったけど、弟たちはまだ待ってるんじゃないでしょうか。あの時のことをよく理解できないまま」黙って聞いていたナムジュンが言った。バス停に描かれたグラフィティの前に立ち止まった。もし全てを放したらナムジュンは信じてくれただろうか。誰かが僕にそんなことを話したら、果たして僕は信じただろうか。数日前、テヒョンがアルバイトをしているコンビニの前を通り過ぎた。客と何かを話しながらテヒョンが大声で笑った。みんなに四角い口とからかわれていたあの表情だった。確かにテヒョンはそんな奴だった。誰も笑わない冗談にも1人で腹を抱えて転げまわり、みんなが理解できないツボにはまり1人でぽろぽろ涙をこぼした。テヒョンとはどう打ち解けたらいいのだろうか。僕は途方に暮れていた。
ここで酔っぱらった勢いでいいからテヒョンを呼んで話せていれば…。それもこれもたらればだけど。またメタ解釈なんだけど、ナムジンってばんたんの中でも出会った当初は価値観が真逆であまり意見が合わなかったとか、ナムジュンがソクジンをカフェに誘って~みたいなエピソードと似てる。ナムジュンはスパイのことを知ってるし、ソクジンの違和感というかぎこちなさに気付いてて、問い詰めるのではなく理由を聞いてソクジンを楽にさせたかったのかなと。それでもソクジンはみんながぶち当たる悲劇、ループについては何も言わない。ソクジン、あなたも救われなくてはならない人なんですよ。まあループについては、どうも未来から来ました!って言っても兄さん飲み過ぎました?ってなるだけだよな。ちょっとまたどうでもいい話なんだけど、わたしには2人がわちゃわちゃしていると大型犬の戯れにしか見えなくて愛(草みたいに言うな)。

22.07.16 ホソク
スケッチブックに描かれた絵をめくってみた。倉庫の教室、トンネル、海を背景に僕たちが一緒にいる姿、アスファルトに1人で横になっているジョングク、道路に沿って流れている血、夜空に浮かんだとても大きな月。「兄さん、怪我したんですか?」振り向くとジョングクが病室に入ってくるところだった。圧迫包帯を足首に巻いてダンスをしたのだが、その結果が半ギプスとなって戻ってきた。ジョングクは来週の精密検査で特に問題がなければ再来週あたりは退院できるだろうと言った。退院パーティーをしようと思った。ジミンを脱出させた日、ナムジュンのコンテナでパーティーをした。7人が初めて再会した日で誰がどんなことをしても笑える雰囲気だった。何か特別な意味を持たなくても、それ自体で気分を盛り上げてくれる話が続いた。そんな日をもう一度作りたかった。もう一度、集まって笑える日を。「あの、兄さん。あの日の夜のことですけど」ジョングクが口を開いた。視線は玄関の外のどこかを見ていた。何かを見ているようではなかった。それよりは記憶の中で何かを探しているかのように視線を固定させたまま、まばたきをするだけだった。「ソクジン兄さんからあの日の夜のことについて何か聞いていませんか?つまり僕が言いたいのは、ソクジン兄さんが僕を見たとか…」ジョングクはそこで話をやめ、口をつぐんだ。「ソクジン兄さんがお前を?どこで?」僕は聞いたがジョングクは口を開かなかった。「兄さんはいい人ですよね?」玄関を出た後、別れ際にジョングクが聞いた。「何言ってるんだ」僕はいたずらっぽく肩をぽんと叩くと手を振った。僕はいい人なのだろうか。明るく活発の子と言われて育った。涙もろくて気が弱いともよく言われた。でも、それは僕がいい人という意味なのか。今まで一度も考えたことがなかった。振り返るとジョングクはまだ玄関に立ったまま、白みがかった曇り空を眺めていた。
ホソクの足の怪我が悪化していき、テヒョンが見ていた悪夢の通りになっていく。そしてジョングクが不穏。いいぞ!(やめとけ)ジョングクの「兄さんはいい人ですよね?」に聞き覚えがあると思ってたら、わたしが世界で一番好きな漫画“進撃の巨人”にも同様のセリフがある。アニとアルミンの会話、そして“いい人に憧れていた”というアニとマルロの会話。自分にとって都合のいい人は、誰かにとって都合の悪い人でもあるということ。自分に都合のいい言動をしてくれる人のことを、人は“いい人”や“優しい人”って言ったりする。もちろんそれが本当にいい人なのかは別として。優しい人の判断基準って客観的意見として判断されるし、その判断材料は自分が見たり聞いたりした言動によるもの。例えばホソクだったらジミンを病院から出すためにみんなを集めたり、ジョングクのお見舞いに来たり、いつも明るくて雰囲気を盛り上げてくれる“いい人”に見えているしホソクは実際にいい人。ホソク自身にも傷や闇があるのに、みんなのことを思って一緒に傷ついたりしてくれて優しくていい人。ジョングクはどういう意図でホソクに聞いたのか?何を意味するのか、何を聞きたいのか、ジョングクはここではっきり言わないんだけど自分を轢いたのはソクジン兄さんなのかもと思っている。もしホソクがソクジンのことを隠すとジョングクにとってホソクは“いい人”ではなくなる。ジョングク、不穏でいいぞ!!

22.07.24 ソクジン
父の後について入った会議室は明るい照明に照らされていた。僕は入り口近くの椅子に座り、周囲を見回した。何を議論する場なのか。僕がなぜ呼ばれたのか何もわからなかった。前方の中央に座っている父の隣になじみのある顔がちらほら見えた。ジョングクの退院パーティーはすでに始まっただろう。電話でもしておこうかと思った時、父が口を開き、周囲は一瞬にして静かになった。真剣な雰囲気だったが悪いことではなさそうだった。むしろ、何かが始まる前の浮かれてそわそわした印象だった。照明が消え、スクリーンに会議のテーマが現れた。ソンジュ市の都心再開発整備事業基本計画。父からの連絡は突然だった。正確には父の秘書からの連絡だった。僕は約束があると言ったが、その言葉が受け入れられるとは思えなかった。車の中で、まだあの友達という奴らと付き合っているのかと聞いた。僕は何も答えなかった。父の言葉は質問ではなかった。友達に対する見下しであり、そんな友達に会っている僕に対する非難であり、みんなに会うなという命令だった。「役に立たないことに時間を無駄にするな。全て私の経験から言っていることだ。これからお前に手伝ってもらうことが多くなるだろう。この機会に学んでおけば、お前も自分の役目を果たす大人になれるだろう」
ソクジンの父親アンチなんだけどみんなどう?最初から今までずっとキショいんだけど?わたしが過激派ソクジンおたくだから?初めて7人で海に行ったときリゾート開発うんたらで、見に行くはずだった岩が爆破されて無かった話覚えてる?かれこれ4万字くらい前の話なんだけど。ソンジュ市の都心再開発以下略、それだよね(語彙力消失)。悪い雰囲気ではなさそうな再開発の発表が、のちに最悪の結果をもたらす。ていうかそんな友達と付き合うなって言うわりにはスパイさせるし、息子を所有物みたいに扱うのがマジで嫌。心がある人間どころか、ソクジンにいたっては心がありまくる人間だってのに(?)。さすがにここまで考察が長いと狂ってくるね、頭。元からか。

22.07.24 ジミン
コンテナの内部は華やかに飾りつけされていた。しかし7つのコップのうち、注がれているのは3つだけだった。ホソク兄さんは仕事があるからと食べ物だけを揃えてくれた後、出かけていき、ナムジュン兄さんはアルバイトが終わらず遅れるとのことだった。ユンギ兄さんとは連絡が取れずソクジン兄さんは来るといったがその後、連絡がなかった。向こうに座っているテヒョンは黙っていた。まだナムジュン兄さんのコンテナは居心地がよくないのだろうか。嫌がるテヒョンを引っ張り出すように連れてきたが雰囲気を盛り上げるのは無理だった。海の旅行から帰った後、僕たちはたいていこんなふうだった。誰も先に手を差し伸べなかったし、それぞれどう過ごしているのか知らなかった。もしかすると不可避なことだったのかもしれない。僕たちはもう学校をサボって群れる生徒ではなくそれぞれが置かれている状況や課題も全て違っていた。一緒にいたいからと集まって時間を過ごしていたいからといって全てのことを後回しにできる立場ではなかった。僕もまた、そうだった。入院するわけには行かず、学業をどうするか決めなければいけなかった。僕が大丈夫だという事実を両親に、いや、自らに証明する必要があった。ジョングクがためらいながら帰ろうとしたのは時間がかなり過ぎてからだった。ナムジュン兄さんに会って行けと言ったがジョングクは「また今度」と言いながら笑った。僕たちはテーブルを片付けコンテナを出た。線路を渡ってバスを待っていると少し離れた所をフラッシュライトで前を照らして歩いていくジョングクとテヒョンの姿が見えた。
久しぶりに7人が集まれるのかと思いきや、集まったのはジョングク含め3人のみ。7人で集まってまた少し前のようにみんなで笑い合うどころか、現実を突きつけられた感あるよね。みんな大人になっていて、手放しでは楽しめないし自分の問題とも向き合わなきゃいけない。ユンギ以外は理由があるとしても集まれないの悲しい…。ていうかジョングクからしたらユンギに一番来てほしいのになんで来てないんですかってなるじゃん。入院してる時に話せてないからお見舞いにも来てくれないし、ともなるじゃん。空気の子だったジョングクはそういう“気にかけてもらえていない”みたいな状況が一番きついと思う。まあどっかで酒浸りなんでしょうけど。ったく。これだから薄情クソ野郎は…。ていうか拗ねてたテヒョンがコンテナにいるのかわいい。入りたくても入れなかったコンテナ、退院パーティーを機にナムジュンと和解したい気持ちもあっただろうな。ソクジンとは微妙だな、ソクジンの鉄拳痛かっただろうし。でも殴った方も痛いんだよ!!!?

22.07.24 テヒョン
倒れた酒の瓶からこぼれ、コップや皿も床に転がっていた。父はぐったりとうなだれたまま、隅でくたばっていた。姉は俺が聞く前に違うといった。「お父さんの声が少し大きかったんだけど、私たちを殴ってると思って誰かが通報したみたい」ようやく警察の姿が目に入った。姉が警察に申し訳ないと何度も頭を下げた。父を殺す夢を見ていた時期があった。本当に父を刺しかけたこともあった。もしかしたら、あの時かもしれない。父が哀れだと思うようになった。親にも資格が必要だとしたら、父は親の資格がない人だった。誰かに肩をぽんと叩かれて振り向くと、顔なじみの警察官だった。俺の家に2回ほど出動し、グラフィティのことで警察署に出入りした時も何度か会ったことがあった。「ここの住民のみなさんは、お2人のことを本当に心配しているようです。いい加減怒鳴りそうなものですが、今日通報してきたおばさんは2人が怪我をしたらどうするのかと。どれほど心配していたことか。必ずお礼を言いに行ってください」俺はもしかしてそのおばさんの声は低くてハスキーな感じだったかと聞いた。警察官はよく覚えていないがそうだった気もすると言った。「母さんと連絡取ってる?」俺がそう聞いたのはみんなが帰り、静かになってからだった。姉は何も言わなかったが、その沈黙はむしろ百の言葉を語っていた。「連絡先は知らない。知ってるのはムニョン市北区の賃貸住宅に住んでいることだけ。でもテヒョン。行ってどうするつもりなの?」姉が聞いた。「聞いてみるんだ。一体何を考えているのか。なぜ出ていったのか。なぜ現れたのか」姉は俺のそばに来て座りながら言った。「テヒョン。母さんはテヒョンに会いたいのよ」俺はせせら笑って立ち上がった。俺がどれほど怒っているのか、わかっていないようだった。「とっくの昔に捨てたくせに、いまさら母親ヅラでもする気なのか?」ムニョン市のある北に向かって歩いた。時刻はすでに午前0時を過ぎていた。人の気配に振り向いたのは線路を横切って渡っていた時だった。ジョングクが後ろからついて来ていた。家の前に止まっているパトカーを見て反射的に走り出した時、ジョングクと一緒にいたことを思い出した。「戻れ!」ジョングクに向かって叫ぶと振り向かずに走り出した。警察がやって来ておばさんたちが舌打ちをし、焼酎の瓶が転がっていて父がいびきをかき、姉が頭を下げた。その様子をジョングクはすべて見ていたのだろう。父の暴力について一度も話したことはなかった。ジョングクだけでなく、誰にも話していなかった。俺らの状況、事情、人生だということをあえて自分の口でいちいち話す必要があるとしたら、それはあまりにも不公平だった。ちらりと振り向くとジョングクがまだついて来ていた。なぜついてくるのかともう一度大声を張り上げようとしたがやめた。ジョングクは依然としてだいぶ後ろからついて来た。「もう1時間になるってこと、わかってるか?」手招きするとジョングクが近付いてきて、俺たちは並んで歩き出した。「どこに行くのか、聞いてもいいですか?」ジョングクの問いかけに俺は答えた。「母さんのところに。話があって」ジョングクは頷いた。母がどこに住んでいるのかも正確に知らない。電話番号も家の住所も知らない。ムニョン市の賃貸住宅まで行ったとしてもその後は何の計画もなかった。家を飛び出した時にこみ上げた怒りは1時間で静まり、怒りがあった場所には空腹と痛みが居座った。母と会う瞬間を思い描いた。会わないほうがいいだろう。結論はいつもそれだった。しかし、俺はその瞬間を絶えず思い描き、結局こうして母に会うために当てもなく夜の街を歩いているのだった。「それはそうと脚は大丈夫か?」思い起こせばジョングクがギプスを外してから間もなかった。そんなジョングクを今何時間も歩かせていた。「医者は頑張って歩くのはリハビリになると言ってました」ジョングクは笑ってみせると、その言葉を証明するかのように俺を追い越して歩いて行った。「さっき、ケーキとハンバーガーを残したのが悔しくてたまりません」ジョングクの言葉に軽く笑いがこぼれた。灯りがだんだん華やかになってきたと思っていたら、い壺間にか繁華街が現れた。コンビニの簡易テーブルに腰を下ろした。ジョングクが喉が渇いたと言ったのはカップラーメンを半分ほど食べた頃だった。飲み物を買って戻るとジョングクの前に誰かが立っていた。それが誰なのか、何があったのかはわからなかったがジョングクが驚いた顔でその男を見上げていた。真夏なのに男はカーキ色のコートを着ていた。伸び放題の髪は白髪だらけでまばらに伸びた髭にはラーメンの汁がついていた。酒のにおいが鼻をついた。男は食べかけのカップラーメンをがつがつ食べていた。誰なのかと聞くのも、なぜ人のカップラーメンを食べているのかと問い詰めるのも無意味なことだった。驚きはしたが、腹は立たなかった。それより怖かった。コンビニから出てきた連中の1人が男の肩を叩くと続けざまに別の1人が足を引っ掛けた。男が重心を失って転び、カップラーメンの容器が倒れた。汁がジョングクの足にこぼれた。驚いたジョングクが勢いよく立ち上がり手のひらでズボンをはたいた。大丈夫かと聞くと、汁が冷めていたから火傷はしなかったと大きく手を振った。男たちの方を見るとケラケラ笑いながら遠ざかっていた。汚れたカーキ色のコートを着た男は、こぼれたカップラーメンをじっと見ていた。「人を押し倒したなら、謝るべきじゃありませんか?」俺は男たちに向かって大声を上げた。「俺たちがやったか?あそこのあいつがやったんじゃないか。それより誰がそこに座れと言った?ガキらがこんな時間に」男たちは不明瞭な発音で罵声を浴びせた。汚れたコートを着た男がその姿勢のまま俺を見た。俺と男の目が合った。黄色く開いた目、しみだらけの顔。誰かの顔が浮かんだ。目の前にある全てのものに拳を振り回し、暴君であるかのように敗者であるかのように生きている、ある人。次の展開は予想通りだった。ジョングクは俺を止めようとして割って入ったが逆に喧嘩に巻き込まれた。1分も立たないうちにサイレンの音が近付いてきた。逃げることは俺の特技の1つだった。ある瞬間、シルバーの車が1台、猛スピードで俺たちの横を通り過ぎた。バックミラーがすんでのところでジョングクをかすめた。ジョングクは驚いたのかその場にしゃがみ込んだ。交通事故で2か月以上入院し、やっと退院したばかりで驚くのは当然だった。キーッという音を立てながら急停車した車の助手席の窓から「お前ら、気をつけろ。今日は特別、大目に見てやる。次は終わりだ、終わり」言い終えるやいなや車はけたたましいエンジン音を立てて消えた。「戻ろう」俺はジョングクに向かって叫んだ。ジョングクの体を支え、尾根に向かった。真っ暗な夜空には色とりどりのネオンサインが華やかに輝いていた。北の方に顔を向け、視線を移した。母が住んでいる町を目で追い、見当をつけてみた。あそこ、あの辺だろうな。あの辺の賃貸住宅で食べて寝て、風呂に入り、掃除をして暮らしているのだろうな。「ジョングク。俺、あの時、母さんの後を追ったんだ」あの時。あの日の夜。母が家を出ていった十年前のあの夜。父に家族3人がひどく殴られ、泣き濡れて眠った夜。何が原因であれほど殴られたのかは覚えていない。眠っていたが、ふと目を覚ますと母が足元に立ち俺と姉を見下ろしていた。母は出ていくんだな。俺たちを捨てるんだな。俺は寝たふりをして息を殺していたが、起き上がって母の後を追った。何か計画があるわけではなかった。母について行き、一緒に暮らしたいという考えもなかった。恨みやおそれのようなものも、あまりなかった。母は一度も振り返らなかった。俺が後を追ってきていることを知らなかったのだろうか。もしかすると、振り返ってしまったら俺を連れていく羽目になると思い、必死に前だけを見ていたのではないだろうか。「兄さん」ジョングクの声に顔を上げた。「すみません」俺はジョングクをじっと見た。「何を謝るんだ?お前が謝ることなんかない」「僕のせいでお母さんのところに行けなくなったじゃありませんか」「お前バカか?」カッとなって声を張り上げた。怒るつもりはなかったが、無意識のうちに声が高くなり、まるで怒っているようになってしまった。「お前は何も悪くない。他の人たちがお前に謝るべきだ。悪いことしてないのに何で謝るんだよ。お前を連れてきた俺が謝らないと。お前を連れてここまで来させた母さん、父さんが謝らないと。むやみに言いがかりをつけたあいつらが謝るべきだ」声がだんだん高くなった。「お前はすごく優しい。お前ほど優しい奴がどこにいる。お前のせいじゃない。お前は間違ったことしてないって!」
いや長いよね。これでもメチャメチャ省略したんだけど改行はしたくないし(しろよ)、この日のテヒョンがきつくて共有したかった。とてもじゃないけどテヒョンのターンはひとりじゃ耐えられない。警察官は「ここの住民は心配しているようです」って言ってたけど近所オバは舌打ちしながらテヒョン宅に集まってるんだよね。近所の人たちは誰もテヒョンとお姉ちゃんのことを心配なんかしていなくて、むしろ迷惑がってる。だからこそ通報したのが母親だってすぐわかる。自分たちのことを捨てて、今までほったらかしにしてたくせに何で今さら現れるんだって気持ちも、母親に会いたいって気持ちも、会いたくないって気持ちもわかる。会ったところでほしい回答も正解もないだろうし。ここで一番謎なのが、カーキ色のコートのおっさん。何者?ちょい役の脇役ホームレスにしてはおっさんのターン長くない?急に出てきてジョングクのカップラーメン食べるしメチャメチャ怖い。テヒョンはきっとこのおっさんを見て哀れに思ったんだろう、父親を重ねて。メタ考察になるけどジョングクのお父さんだったり、する???ジョングクが捨てられたのは小学生の時だしお互いわかってないとかそんなメタ、ある???テヒョンがジョングクに「お前は悪くない」って言うところ、今までのジョングクの境遇とか父親に捨てられたこと、全部ひっくるめて「お前は悪くない」って言ってたら泣ける。父親に捨てられたのも、今の家に居場所がないことも、事故に遭ったのも、全部お前のせいじゃないって意味だったら…ウウッ…。

22.07.25 ホソク
足首は以前より悪化していた。半ギプスを外し、完全にギプスをつけた。「一度痛めた部位はいっそう気を付けなければなりません。弱くなっていって下手したら二度と使えなくなるかもしれませんから」医師が念を押した。松葉杖をつき、脚を引きずりながら家に続く大通りに差し掛かった。酒に酔ってふらふらしているユンギ兄さんとばったり会ったのは横断歩道の前に立っている時だった。すぐ隣を通り過ぎているのに兄さんは僕に気づかなかった。ジョングクの病院に行ってきた2日後、兄さんを訪ねたことがあった。電話をしても出ないため、じれったくて、すぐさま作業室に向かった。ドアを叩いたが応答がなかった。音楽がかすかに漏れてくるだけだった。もう一度、電話をしようかと思ってやめた。その代わり、ドアをバンと足で蹴った。ユンギ兄さんとは中学校以来の知り合いだった。母親がどんなふうに亡くなったのか、それが兄さんにどんな傷を残したのか、そのためにどれほど悩みつらい思いを知ったのか全て知っていた。だからいつも一緒にいて楽で信頼できる弟になろうと努力した。とげのあることを言われても笑い飛ばし、面倒くさがっても外に連れ出した。だが、兄さんにとって僕たちは何でもない存在だった。ジョングクにとって自分がどんな存在か知らないはずはないだろう。兄さんはジョングクの事故についても知っていた。それでも病室に来なかった。それだけではなかった。兄さんと一緒に音楽の作業をしているという彼女が数日前、訪ねてきた。手を尽くして探した結果、僕を知ったとのことで兄さんと連絡が取れないと言った。そうするつもりはなかったが無意識のうちに顔が後ろを向いていた。兄さんはアクセサリーの露店の前に倒れていた。「一体、いつまでこうしてるつもりですか」兄さんはぼんやりした目で僕を見た。「世の中がつらいのは兄さんだけだと思ってるんですか?僕は幸せな人生で愉快に笑って過ごしてると思ってるんですか?正直に言ってください。一体、何が不満なんですか?兄さん、音楽に才能があることはみんなが認めてるし、兄さんがそんなふうに好き勝手をしてもみんなは喜んでます。わかってます。兄さん、お母さんが亡くなってつらかったでしょう。僕もわかってます。でも、いつまでこうしてるんですか?音楽をやらないで生きるつもりですか?それで生きていけますか?音楽があったから幸せだったことは一度もありませんでしたか?ジョングクになぜ会いに行かなかったんですか?待ってること、知らないんですか?僕たちが傷つかないとでも思ってるんですか?つらくないとでも思ってるんですか?」普段ならそこまで言わなかっただろう。しかし腹が立っていた。兄さんのせいだけではなかった。松葉杖をつかなければならない状況にも嫌気がさした。「逃げるのもいい加減にしてください。行くなら姿を消して、戻らなければいいんです」背を向けて横断歩道を渡った。「ホソク」兄さんに呼ばれた気がしたが、振り返らなかった。いつも悪いのは僕のせいだ、悪いのは僕だと思ってきた。僕がするべきだったのに、僕が我慢するべきだったのにと思っていた。もう、そうしたくなかった。
ジョングクの事故を知って、ホソクが病院に行ったのは6月13日。その2日後の6月15日のユンギの日記で「誰かがドアを叩いたような気がした」ってあって、ホソクが作業室を尋ねて来たときユンギはただ爆睡してたっていうオチ。なんてことない時間経過なんだけど、ここまではっきり時間経過がわかるシーンって多くないから嬉しくなって書いちゃった。ていうかユンギ、ホソクにメチャメチャ助けられてるのにいつまで経ってもクズ全振りでもういい加減愛しくなってきた。ホソクのような希望の人に「世の中がつらいのは兄さんだけだと思ってるんですか?僕は幸せな人生で愉快に笑って過ごしてると思ってるんですか?」って言われるのきっつい。こんなこと言われたらぐうの音も出ない。7人7様で“いつも悪いのは自分”って自己肯定感低いんだけど“悪いのは自分”という同じ言葉でもホソクは少し意味合いが違う気がする。ホソクって、テヒョンのこともジミンのことも助けて、ジョングクが入院した時は一番にみんなに連絡して心配して、本当に7人を繋ぐ架け橋みたいな存在だと思うんだけど少し過剰な気もするんだよな。ジミンが言っていたように人の痛みに敏感で一緒に落ち込んでくれるような優しさを持ってるんだけど、それは元々生まれ持った性格と、母親に捨てられたことによって生まれてしまった“自分の価値”や“自己評価”の低さというか…。前半の方に、わざわざ反対方向に住んでいるジミンを2時間けけて家まで送ってあげてたり、善行“すぎる”くらいの善行でなければ自分の価値を見出してもらえないみたいな強迫観念があるのかもしれない。ただ側にいて慰めたり言葉をかけてあげるだけでは好きになってもらえない、自分を見てくれない、みたいな。ホソク自身には“してあげている”という感覚はないんだろうけど、2時間かけて送ってもらっていたジミンはそのことについて聞かなかったわけじゃん。そこまでしなくでもいいと思うんだけど、そうまでしないと寄り添っているという気持ちになれないのかな。なんかつらい。ていうか………男同士で家まで送るって………何が起きている………?懐いていたユンギに捨てられた(お見舞いに来てもらえなかった)ジョングクを母親に捨てられた自分に重ねて腹が立ったんだと思う。ユンギへ向けた言葉が、母親にも向けた言葉かもしれないと思うと…la la la…言葉にできない…。

22.07.25 ユンギ
目を開けた時は真夜中だった。「行くなら姿を消して、戻らなければいいんです」ホソクの言葉が浮かんだ。ジョングクの病院を出た後、よろけてぶつかり倒れた記憶だけだった。酔いと頭痛、恐怖と自暴自棄のような感情がまじりあい、時間がどれくらい経ったのか、ここがどこなのか全てぼやけていた。そうしているうちにホソクにばったり会った。瞬間的にある感情がぐっとこみ上げた。うれしさのようでもあり、安堵感のような感情でもあった。あいつなら、俺自身にも理解できない混乱と恐怖を分かってくれる気がした。「ジョングクにはなぜ会いに行かなかったんですか。ジョングクにとって兄さんがどんな存在が知らないんですか?」知らないわけではなかった。俺はひねくれ者でどげのある人間だった。俺のそばに来ると誰でも傷ついた。誰もいない山道をながめた。道は二手に分かれて伸びていた。俺は真っ暗な林に向かって歩き出した。ここで倒れて死ぬとしたら…。ただ死ぬだけだ。俺はその場に座り込んだ。数えきれないほど死を考えた。にわかに顔を出す恐怖と欲望から逃げたかった。どうしようもなく惹かれながらも、一方では真正面から見つめられないほど怖い対象からその極端を行きかう苦しみから逃げたかった。もう一度、目を開けたのはピアノの音が聞こえたからだった。降りしきる雨の音、木の葉が揺れる音以外は何も聞こえなかった。そんな中、ピアノの音は消え入るように、か細く続いていた。真夜中の山中でそんなはずないと思ったが演奏は続いた。そら笑いがこぼれた。あのメロディーのようだった。これまで、あれほど必死に思い出そうとしていたあのメロディー。何か大事なものが欠けているが、それが何なのか分からず何日も眠れなくさせたあの旋律。俺は土の地面に手をつき、体を起こした。震える体を支え、ピアノの音が聞こえる方向に向かって歩いた。ふらつく足を無理に速めたのは、その音が途切れてしまったらもう二度と聞けない気がしたからだった。足を速めるほど、木の枝にぶつかるほど、足が滑るほど、ピアノの戸は次第に鮮明になった。苦痛が増すほど大きくなった。それは音楽というよりは、ある感情に近かった。それは聴覚ではなく、痛覚を刺激した。苦しみであり希望であり、喜びであり恐怖だった。俺が逃げようとしていた全てだった。突然、目の前に日差しがまぶしかった午後の一時が広がった。「兄さん。それ、本当にいいですね」ジョングクが近づきながら言い、俺は軽く笑って答えた。「お前は何でもいいって言うじゃないか」幸せだった瞬間ごとにピアノがあった。いつも粉々に砕け散ったが、それらを否定することはできなかった。この音楽を1つ完成させることに何の意味があるだろうか。その答えはまだ見つかっていなかった。しかし、その問いかけ、その答えに先立つものがあった。この全てのことが散り散りになる前につかみ取りたかった。誰かのためでも、何かを証明するためでもなかった。ましてや、俺自身のためでもなかった。何の意味がないとしても構わなかった。この音楽を完成させたかった。道は依然として二手に伸びていた。俺は日が昇る方角へと歩き出した。
ホソクにぐうの音も出ないくらい叱責されてさらに自暴自棄になって、山とか行っちゃったりなんかしちゃったりしたユンギちん!今日も今日とて情緒不安定でかわいい!ジョングクのお見舞いにも行かないで酒浸って、しまいに道でぶっ倒れてみんなからしたらひどい薄情クソ野郎なんだけど正直ユンギ視点だと“ジョングクが勝手に懐いてるだけじゃんアセアセ”、“お見舞い行くなんて言ってなくねアセアセ”なんだよな。自己肯定感が激低のジョングクに話しかけて依存先になったのも(?)、退学後に声かけたのもユンギからだしジョングクが自分に懐いてるの知ってるんだからある程度の責任は取るべきだとは思うけど。ていうかユンギが退学後に話しかけて再会した時から地獄入りしてるからいつかこうなることは目に見えていたような気もする。ヤンコチってどっちかが不幸にならないとヤンコチとして成り立たないし。ジョングクだけが依存しているのかと思いきやユンギも結構ジョングクのこと思い出しててちゃんと大好きなのかわいいな。そんな放課後のカヲシン風の連弾風景を思い出してぽわんとなるくらいなら、なおさらお見舞い行けよと思うけど。まあ…ユンギの気持ちもわからんでもない。“俺が何か言うことでそんな勝手にいろいろ期待されてもアセアセ”ってなるだろうし…。何はともあれホソクの言葉でユンギが立ち直る兆しが見えてきた。ソクジンのループだけでは助けられないこともあるということ。最後の一文にある「道は依然として二手に分かれていた」、この時にもし暗い方に進んでいたらユンギはここで命を落としていたのかも。とりあえずユンギは一旦禁酒しなね。

22.07.28 ジミン
兄さんが練習室に来なくなって4日が過ぎた。お姉さんに少し休むと連絡をしたそうだが、その後は誰が連絡しても応じなかった。ジャストダンスのグループチャットルームに上がったメッセージも未読だった。足首に問題が生じたことは知っていた。思い起こしてみれば、あの日の夜からだったと思う。僕のせいでお姉さんが怪我をした夜。状態はだんだん悪くなっているようだった。店のドアを開けて入ると店員が活気に満ち溢れた声であいさつをした。「あの…、もしかしてホソク兄さんは今日お休みですか?」兄さんは病気休暇を取っているとのことだった。3週間と聞いているが正確ではなく、足首の状態が悪化してギプスをしており、見かねた店長が病気休暇を勧めたそうだ。その足でまっすぐ兄さんの家まで走った。コミュニティバスを待つ余裕がなく、坂道を駆け上がった。ドアは鍵がかかっていた。チャットルームにメッセージを残した。「兄さん、どこですか。どこにいるんですか」その日のうちに返事はなかった。
ただいま考え中🎶ただいま考え中🎶ただいま考え中🎶ただいま考え中🎶ただいま考え中🎶(クインテット雑唱団より)ここって考察のしようがないような気がするんだけど勢いで書いちゃったし消すのもったいないから消さないでおくね。

22.07.28 ユンギ
体を起こす元気が出たのは、午後になってからだった。山をさまよって下りた後、2日間ひどい風邪を患った。どんなふうに時間が流れたのか、ほとんど覚えていなかった。病院で点滴を打った後、のどを通らない飯を無理やり流し込んだが結局すべて吐き出してしまった。ジミンのメッセージを見たのは洗面所でうがいをしている時だった。既読の数は増えたが、誰1人、返信しなかった。線路沿いを歩き、バス停に着くと少し離れた先に工事が中断され数か月、放置されたままの建物が見えた。その建物の間を少し上がっていくと楽器屋があった。パチパチと音を立てながら燃え上がっていた火も、ゆっくりとした下手なピアノの音も今日はなかった。楽器屋の前で立ち止まった。「僕たちが傷つかないとでも思ってるんですか?つらくないとでも思ってるんですか?」ホソクの言葉が浮かんだ。あの日の記憶はめちゃくちゃに絡み合い、もつれていた。しかし、あの日のホソクが普段とどこか違うという印象だけは確かに残っていた。ホソクが俺に怒りをぶつけたのは、初めてではなかった。あの日のように鋭い非難ではないが、ホソクは俺がくじけるたびに急き立て、励まし、リードした。それならば、あの見慣れない印象は何のせいだったのだろうか。ジミンのメッセージをもう一度開いてみた。「兄さん、どこですか」それから数時間が過ぎたが、ホソクからは何の返信もなかった。俺がホソクを本当に失望させてしまったのだと思うと、何かがドスンと崩れ落ちるような気がした。ホソクは怒って急き立てるようなことはあっても、沈黙したり無視したりはしなかった。俺が逃げると、かなり遠回りをしてでも戻ってこられる道を作ってくれた奴だった。ところが、今度はいつもと違うようだった。何をしても撤回できるとは思えなかった。
酔っぱらってたユンギもホソクの異変には気付いたようで安心。これで酔いが覚めて何だあいつって逆ギレとかしてたらマジで一回ビンタしてた。今回のユンギについてはソクジンのループだけでは完全に救うことができず、自分自身と向き合うこと、つまりLOVE YOURSELFが救われる第一条件だったということ。うまいね~~~~~~!!!!!ずっと思ってるんだけどグループチャット内で兄さんって言ってもどの兄さん?ってならないのかな。LINEのリプ機能みたいなの使ってるのかな。あれメチャメチャ便利だけど使ってる人が少なすぎてだいたい「何これw」って言われるのが解せない。また話逸れた。ていうかユンギ、ホソクに甘えっぱなしなのわかってて悪態ついてたんだ。かわいいとこあんじゃん。

22.08.07 ナムジュン
明かりをつけ、コンテナのドアに貼られたチラシを見下ろした。再開発や撤去のような文面が書かれていた。この付近が再開発されるという話がまた出回り始めたようだった。そんな話が出たのは1日や2日ではなかった。しかし、本当に何かが起こるように騒々しいと思えば、毎回何事もなく過ぎるのだった。ジョングクの病室に行ってきた後、毎晩ここで過ごした、疲れる日々だった。顔を洗っている時、鼻血がぽたぽた落ちたりもした。それでもガソリンスタンドの小部屋ではなく、必ずここに来た。その後、ドアを開けて入ってきた人はいなかった。もしかしたら永遠に誰も現れないかもしれない。人は誰でも別れる。俺たちにそんな時が来たのかもしれない。しかし、誰かが“僕たち”を必要とするのなら、俺はまだここにいるという合図を送りたかった。誰かがもう一度ここを尋ねてきた時、明かりのついている“俺たち”のアジトを見せたかった。
再開発うんたらみたいな話が7月24日のソクジンの日記にあるから今回は本当に再開発地帯になってると思う。ていうかこれもずっと思ってるんだけどコンテナって住んでいいの?映像で見てもとても家とは言えないようなザ・コンテナなんだけど…。まあそれはいいとして、鼻血が出るほど忙しい毎日を過ごして、わざわざコンテナに帰ってきてみんなの居場所も作ってあげて…いい子…。もう図書館には行ってないのかな。頑張って勉強して作家とかになってほしい。キムナムジュン一発逆転ストーリーまだ諦めてない。

22.08.11 テヒョン
ずっとうつむいて歩いていたが、見慣れた壁の前で立ち止まった。あの子が初めて描いたグラフィティのある壁だった。無意識のうちに周囲を見回した。あの子を路地に残したまま、1人でパトカーのヘッドライトの前に進み出たあの夜の日以来、町内のどこにもあの子の姿は見えなかった。そのグラフィティの上に大きくバツ印が描かれているのを見つけたのは、しばらくあの子を捜し回っていた時だった。何の意味だろうか。バツ印が描かれたグラフィティの上に、いくつもの記憶が折り重なった。この壁に一緒にスプレーをかけながら俺はあの子に言った。「つらいことがあったら、1人で悩んでないで言えよ」バツ印はその全ての記憶の上に描かれていた。そして全てが偽物だと言っているように思えた。嘘だと言っているように思えた。その日以来、俺はずっとこの壁から顔をそむけて歩いた。引き返そうとすると、バツ印の下の方に小さな文字が見えた。壁を引っ掻いて書いた文字は“君のせいじゃない”という短い一文だった。あの子だった。あの子がその一文を書くところを実際に見たわけでも、あの筆跡を知っているわけでもなかったがわかった。先日、あてもなく母を捜しに行った時のことが浮かんだ。わき上がる恨みに耐え切れず夜の道を一心不乱に歩いたが、結局あの日、俺はどこにもたどり着けなかった。“君のせいじゃない”その一文を見て立っていると、あの時の気持ちが蘇った。背を向け、また歩き出した。俺の家が見えてきた。ドアの前に着くとハーハーという父の荒い息の音と酒のグラスがガタガタとぶつかる音が聞こえてきた。立ち止まって振り返り、両手で欄干に手をつき外を見下ろした。“君のせいじゃない”僕はその一文をもう一度繰り返していってみた。大きく息を吸い込んでから吐き出した後、俺は振り返ってドアを開け、家に入った。
テヒョンの前に現れる女の設定、ちょっと無理やり感あったけどバツ印でメチャメチャ鳥肌立った。この女が書いたバツ印というより、映像でソクジンにバツ印を描くシーンがあるんだけどそれを思い出してそういう、コト!?ってなった。NOTESの終わりが近づいてきて早く映像の方でああだこうだ言いたいんだけど、どうしたらいいですか?ムニョン市でジョングクに「お前は悪くない!」って怒ったのは自分もそうだと思いたかった、自分も“お前は悪くない”、“君のせいじゃない”って言われたかったのかな。父親に殴られるのも、母親が出ていったのも、世の中が不公平なのもテヒョンのせいじゃないよ。テヒョンのシーンって毎回きついな。次のアップデートでどうにかなりません?きついです。違和感があるのが、一人称が“俺”のテヒョンがここで一度だけ“僕”という一人称になるところ。父親に殴られ泣きながらあの日、母親が姉とテヒョンを置いて出て行ってしまった日のことを思い出して“僕”になったんだとしたら…。幼少期の自分に言ってあげるように“僕”になったんだとしたら…。か、かわいい~!

22.08.12 ホソク
列車から降りると誰かが肩をぶつけて通り過ぎた。先月末、このプラットホームで列車に乗りソンジュを離れた。ソンジュを離れたことも、離れたいと思ったこともなかった。毎日、決まった時間に店に出て練習室に行った。集中してダンスを踊り、家に帰るとそのまま倒れて寝入った。とても小さいがソンジュには僕が帰るべき所、居場所があった。その全てにひびが入り始めたのは足首を怪我してからだった。仕事をすることも、ダンスをすることもできない、僕の居場所がない3週間。アルバイト先の仲間とダンスサークルの荒廃から近況を尋ねるメッセージが数件届いたのが全てだった。兄さんたちと弟たちからは連絡がなかった。思い起こせば先に連絡をするのはいつも僕だった。今度は先に連絡をしたくなかった。もし誰も連絡をしないとしたら?それでいい。昨日の夜、ユンギ兄さんとばったり会ったことが浮かんだ。あの時、言ったことをじっくり思い返していたが、がばっと立ち上がり虚空に向かってわざと大声で言った。「どうせ兄さんは覚えてもいないさ」兄さんに言ったことを後悔しているわけではなかった。自分勝手も自己憐憫も度を越してはいけない。それなのにあの瞬間が、あの言葉がしきりに頭に浮かんだ。切符売り場の前で都市の名前を見て近隣で一番大きい都市を選んだ。どうせ行くなら大きな都市に行きたかった。僕はそんなふうに衝動的にソンジュを離れた。最初の2日間は近所を回りながら過ごした。構想の建物が立ち並ぶ通りも、きらびやかな商店街もなかった。もう少しだけ歩いていけば、僕の住む坂道の屋上の簡易住宅が現れる気がした。生まれて初めてソンジュを離れ、たどり着いた所がまるでソンジュのような町だった。そのせいだろうか、僕が離れた都市と残してきた人たちのことは考えないようにしたかったが、思い通りにならなかった。3日目はもう少し遠くまで行ってみることにした。しかしスーパーマーケットを出て20分も経たないうちに松葉杖をついていた肩がだるくなった。少し先にレンガの建物が見えた。市民会館だった。自動販売機で飲み物を買っていると奥の行動のドアが開き、数人が出てきた。開かれたドアの中から音楽が流れてきた。舞台の一角でストレッチをしている1人の男性の頭に照明が当たっていた。舞台に立っている男性はゆっくり体を動かし、脚と足首、腕と首と肩をほぐした。しばらく続いたストレッチはそれ自体が一連のジェスチャーだった。どれくらい時間が過ぎただろうか。講堂の中に明かりがついた。僕は動くことさえ忘れて座っていた。誰かが近づいてきて今はリハーサル中だから出ていくようにと言った。市民会館の入口にダンスアカデミーの公演ポスターが貼られていた。ポスターの中に舞台上の男性はいなかった。民泊に戻り縁台に横になった。実際に舞台を見たのは初めてだった。それはユーチューブという小さな窓を通して見ていたものとは全く違う経験だった。思い出すだけでも心臓が高鳴るジェスチャーと表現を頭の中で一つ一つ振り返ってみた。ポケットの中の携帯電話が鳴ったのはその時だった。「兄さん、どこですか」ジミンのメッセージだった。未読の数は1つ2つと減ったが他のメッセージは届かなかった。何と返事したらいいだろうか。いつも若干の笑いを込めて状況を説明したものだが、今はそうしたくなかった。僕宛のメッセージに返事をしなかったのは今回が初めてだった。チャットの画面はまた静かになった。翌日の同じ時刻、もう一度、講堂を訪れた。暗闇の中に身を隠し男性のダンスを見た。同じ舞台だが別の物語であり、別の感情だった。またリハーサルが終わり廊下に出ていこうとしたが少し離れた前方でスタッフと話していた男性と一瞬、目が合った。僕は無意識のうちにお辞儀をした。スタッフが近づいてきて「あぁ、昨日来てた人だね」と親しげに言った。翌日は公演日だった。しかし、舞台に男性はいなかった。4つのステージで構成された公演で男性の出番はなかった。心は熱く燃え上がっているのに身じろぎもできないという圧倒的な瞬間はなかった。どんな舞台も男性が見せてくれた脅威とは比べ物にならなかった。公演チームと出くわしたのは駅だった。人手が足りないのか右往左往している様子だった。どういうわけか、どこか頼りなさそうだったし僕は何かを仕分けたりすることはお手のものだった。ギプスが煩わしかったが、どうしたらいいのか分からずに立っている人たちよりはましだった。「あぁ、また、あの時の人だね」振り向くと例のスタッフだった。「お礼の挨拶もできませんでしたね」そのスタッフが僕の所に来たのは列車が出発して少し経ってからだった。急に仕事がこじれたためスタッフの大半が抜けてしまい、手伝ってもらえなかったらどうなっていたか分からないと言った。そしてギプスを指差し、無理をしたのではないかと聞いた。僕は答える代わりに手を横に振った。「それはそうと、リハーサルの時に見たあの方はどうして公演に出なかったんですか?」の僕の言葉にスタッフは何の話かと言いたげに振り向いた。「あぁ、あの方ですか。あの方は芸術監督です」スタッフの話はしばらく続いた。あの方は現役の頃、どれほどすごい実力を持っていたことか、そして彼の怪我がどれほど悲惨だったか。挫折の時間がどれほど長かったか。「でも、それ以上に驚くべきことは不可能だろうというみんなの予想を裏切り、振付師として芸術監督として戻ってきたことです」しかし怪我は怪我だった。彼は二度と舞台には立てなかった。ダンスチームを手伝って一緒に旅をすることになったのは全くの偶然だった。次の駅で荷物を下ろすのを手伝ったが、ついでに僕の旅行カバンまで持っていかれてしまったのだ。幸い、スタッフの電話番号を知っていた。すでに夜は更けていた。僕はスタッフの勧めで公演チームに混じって泊まった。ずっとこんなふうに一緒に働こうというスタッフの提案はおそらく半分は冗談だったろう。そうすると言った僕の返事も同じだった。あの男性の練習が始まった。僕は半ば呆然とその姿を見守った。そして、問い返した。「本当に一緒に行ってもいいですか?」その日から3つの都市を回った。男性はどの都市に行っても毎日、ストレッチと練習をした。舞台に上がるわけでもないのに一度も欠かさなかった。僕はスタッフやほかのダンスチームともすぐに親しくなった。彼らのダンスと僕の躍るダンスは違ったが、体を動かして何かを表現するという点では全く違わなかった。「ダンスをしてたんですか?」振り向くと男性が立っていた。僕はあたふたと立ち上がった。男性をじっと見た。何と答えたらいいのかすぐに言葉が出てこなかった。男性の前で僕もダンスをしている者だと言ってもよいのか、ためらった。「大きな怪我を克服されたと聞きましたが」男性は僕を見た。失礼なことだと分かっていた。しかし、聞かないわけにはいかなかった。男性は僕のギプスを見下ろすと口を開いた。「自分自身どん底まで落ちるべきです。それ以上、落ちるそこが見えなくなるまで絶望に窒息死するところまで。その後、あおこから抜け出すんです。その動力が何なのかを見つけるのが一番大事なことでしょう。自分を奮い立たせてくれるのは何なのか。それを見つけたら、しがみついて離さないことです。人であれ、欲望であれ、悪いこと、むかつくことだとしても、あきらめずに最後までやり遂げなければなりません」それが男性との最初で最後の会話だった。その後もツアーは続いたが男性ともう一度話す機会は与えられなかった。男性の言葉について考えた。僕の一番暗い挫折。その時、僕を奮い立たせてくれるもの。「ソンジュ市に住んでるんですか?監督もそこの出身ですけど」駅の待合室に置かれた広報のリーフレットを見ている時、スタッフが近づいてきて聞いた。ソンジュ市、ヤンジ川岸花火大会。8月30日。記憶している限り、僕は毎年花火大会を見た。大会は毎年夏の終わりに開かれた。「夜のうちに、気が変わりませんでしたか?」数日前に正式に公演チームのスタッフとして加わらないかと彼に誘われた。「ホソクさんなら信じて一緒に仕事ができると思って」一緒に座っていた人たちも相槌を打った。離れたところで拍手をしている人もいた。瞬間的にやりたいと思った。いつの間にか全員と親しくなっていた。ここが僕の居場所なのではないかとも思った。数日悩み、提案はありがたかったか元の場所へ戻ると返事をしたのは昨晩だった。「本当にここで別れるんですか?」スタッフの言葉に僕はカバンを取りながら答えた。「もうギプスを外す時が来たので」ダンスチームとは反対方向に行く列車に乗った。2時間後、ソンジュ駅に到着する。わけもなく、心が浮き立った。心のどん底まで落ちるようなことはまだ起きていなかった。そんなことは一生起きないかもしれない。男性の話を聞いた後、繰り返し思い出す瞬間があった。「二度と連絡しません。兄さんは兄さんなりに生きてください。もう戻らないでください」もしかしたら、あの日の兄さんはどん底まで落ちていたのかもしれない。「ホソク」背を向けて横断歩道を渡っている時、兄さんが僕を呼んだ。自分の切望に窒息していく兄さんを捨てて背を向けた。逃げた。「兄さん、大丈夫ですか?」メッセージを送ったのはさんざん迷った後だった。一度思い出すとあの日の出来事は次第に大きな重みを伴って僕を押しつぶした。チャットの画面には依然としてジミンが送ったメッセージが浮かんでいた。返事が来たのは明け方だった。携帯電話の振動に驚いて目が覚めた。液晶画面に兄さんの名前が浮かんでいた。兄さんが送ってきたのは音楽ファイルだった。兄さんらしくなく、とても美しい音楽だった。悲しみの中で歓喜と絶望が交差し、砂漠の向こうで青い海が波打った。花が咲いては消え、一瞬飛び跳ねては次の瞬間墜落した。兄さんの音楽は兄さんの生き写しだった。タイトルは何かという僕の問いかけに兄さんは答える代わりに聞いた。「いつ帰るんだ」足首は時間が過ぎた分、回復しただろう。丈夫になったのは足首だけではないかもしれないとも思った。メッセージを送った。「おはよう!僕が帰ってきました!みなさん、何してますか?」
長いね。読みにくいよね、わたしも読みにくい。途中くぁwせ以下略みたいな誤字が多すぎてパソコンに蹴りを入れることで事なきを得た。怪我をして仕事も生き甲斐のダンスもできず、友達とも上手くいかない。そりゃ温厚なホソクも「もういいわ」ってなるよな。そして画面の前の勘のいいガキのみなさん。お気づきでしょう。現実の世界でもデビュー前に荷物をまとめて出ていく、みたいなエピソードあるじゃん。ほぼそれだよね。無事にデビューして時間が経って「もうやめるって決めてたよ」なんて笑いながら言ってたじゃん。それじゃん。状況も理由も何もかも違うんだけど本人のリアルなエピソードが組み込まれてて、な~にが“本人とは関係ないキャラクター”だ~~~??って思うよね。しかもこのエピソード、ジョングクは辞めないで~って泣いて止めて他の5人はホソクの決心に異を唱えなかったというね。ストーリーとちょっと被ってるよね。メタ考察じゃん。ホソクがいなくなって数日経ってもジミンしかメッセージよこさないし、最終的に己の言動を省みたユンギから曲が送られてきててユンギったら重い彼氏みたいでかわいい!喧嘩した彼氏から曲送られたらどう?キモおもろいよね!ジミンから送られてきたメッセージ、ユンギに言ってしまった言葉があったからこそ戻るという選択をしたのかもしれない。自分の意思で育った町を出て、そこでもまた人の痛みに触れて、自分の意思で戻ってきたホソクは強いよ。NOTESの内容が長くて考察してないじゃんと思うよね。正直、ちょっと疲れてきてはいるのよ。NOTES全体がそうなんだけどこの辺の内容って特に映像がないとちょっと分かりにくいような気がするんだけど、どう?映像と照らし合わせてああだこうだ言いたいよね。したいよねっても、今までずっとソロ活動なんだけどさ。

22.08.13 ホソク
久しぶりにジャストダンスの練習室を訪れた。「今までどうしてずっと来なかったのよ。面白いことでもあった?」と叱りつけるように言いながら笑った。「元気だったか?」僕が聞くと彼女は私たちの仲でそんなこと聞くなんてというような表情を浮かべて見せた。僕は鏡の中の自分を見ながら話を続けた。「母の話、したっけ?」母の話はおそらく百回以上しただろう。どんなに繰り返しても、彼女は一度も聞き飽きたと言わずに話を聞いたくれた。「母はどこかで幸せに暮らしているだろうな。僕はそれでもいいと思う。この先、二度と会えないとしても僕も母も幸せならそれでいいってことさ」彼女が僕を見た。「そうだ。それから僕は君が母に似てると思ってたんだ。そうじゃなかった。それを突き止めるために今まで来られなかった」彼女は何の話か分からないという表情を浮かべた。「それで、出発はいつだ?」いやそれはどうでもいい。おめでとう。行きたかった所じゃないか」彼女は少しの間、床を見下ろすと顔を上げながら言った。「ごめん。私から先に話すべきだったのに」「悪いって思ってるならメシをおごれよ。その代わり、後で盛大に歓送会をしてやるから」僕はわざと大声で笑って見せ、冗談を言った。「僕たち、いつかすごくかっこいいダンサーになってまた会おう。頑張れよ。僕も手加減しないから」彼女が頷いた。
なんか、花様年華ではなかなか味わえないほっこりほんわかシーンだよね。ホソク自身も母親にはもう二度と会えないって心ではわかっているんだろう。旅先で言われた“どん底に落ちなければならない”ことは、幼少期に母親に捨てられたことだと思うけど、これからのホソクにそれ以上悲しいことは今後一切起こるなよ!!!??これは振りじゃないぞ。マジで起こるな!!!??振りじゃないからな!!!??女におめでとうと言えたことでホソクは一歩進んだと思う。かなりどうでもいい考察していい?ホソクの母親はなぜホソクを捨てなければならなかったのかという考察なんだけど。韓国ドラマ風に考えるとホソクの母親は何かしらの闇の組織に追われていて、または脅されていてホソクの身を案じて置き去りにしたとか。闇の組織だったら母親絶対死んでるよな。単純に母親に新しい家族ができてホソクが邪魔になったからという可能性もあるけど、それだとホソクの心が救われないから闇の組織に追われて仕方なく捨てたというストーリーであってくれ。ソクジンの父親の会社なんてたぶんブラック企業だろうし何かしらの秘密を知ってしまって狙われているとか、ジョングクの父親と駆け落ち説は!!?ないか。さすがに。ホソクの母親の考察しなくていいからホソクの考察しろって感じだよね、わかる。ここまででだいたいホソクの出来事は出揃った感ある。だからもう母親の考察をするしかなかった。あと残されたホソクの問題といえばナルコレプシーではないのに眠りこけてしまう理由くらい?それは後々わかるのでここでは割愛。

22.08.15 ソクジン
彼女に初めて会ったのは線路でだった。1か月くらい前、気持ちがひどく複雑な日だった。ジョングクの病院を訪れたが10分ほどで退室しその10分ほどの間もほとんど会話ができなかった。ジョングクはどういうわけか、すっかり緊張したまま僕を警戒していた。チャットルームには依然として何のメッセージも届いていなかった。二度と連絡しないというホソクのメッセージが最後だった。おそらくユンギに向けたものだった。しかしその言葉を見るたびに、なぜか僕への言葉のような気がした。病室を出て当てもなく歩いた。線路の前だった。遮断機が下りていて電車が近づいてくるのが見えた。僕は何を望んだんだろうか。そんなことを望んではいけなかったのだろうか。友達と一緒に感じた、一体感のようなものは錯覚だったのだろうか。遮断機が上がり踏切が開いた。彼女が僕のそばを通り過ぎる時、ダイアリーを落とした。ダイアリーには彼女のしたいことが書かれていた。イタリア語講座、テンプルステイ、捨て犬のボランティア、バリスタ教育、彼氏とイヤフォンを片方ずつつけて散歩すること。スメラルドはそのうちの1つだった。スメラルドに関する雑誌記事のスクラップの下にはこんな一文が綴られていた。『愛は1人との関係ではなく、世界との関係を決定づける態度である。私が1人を愛するとしたら、私は全ての人を愛し、世界を愛し、人生を愛するようになる。私がある人に「私はあなたを愛している」と言えるとしたら「私はあなたを通して全ての人を愛し、あなたを通して世界を愛し、あなたを通して私自身のことも愛する」と言うべきである』-「愛するということ」エーリヒ・フロム。彼女と1か月間いろいろなことをした。彼女の望み通り、イヤフォンを片方ずつつけて散歩し、捨て犬のボランティアにも行ってきた。テンプルステイはできなかったが市内バスに乗り終点まで行ってみたり好きなカフェで会ったりもした。スメラルドはイタリア北部でのみ栽培されるという花だった。近くの大型フラワーショップに行ってみたが、その花の存在を知る人もいなかった。そうしているうちに、あの店を見つけた。内装工事中のフラワーショップの一角で書類を整理していたオーナーが近づいてきた時でさえ、大きな期待はしていなかった。オーナーは花の名前を聞くと、僕をしばらく見ていた。フラワーショップはまだ正式にオープンしていないが敗走はできそうだと言い、僕に聞いた。「どうしてその花がご入り用なんでしょうか?」彼女は僕が彼女のダイアリーを持っていることを知らなかった。この1か月間、一緒にしたことは彼女のダイアリーを見てその通りにしたのもだとは思いもしないだろう。僕はダイアリーを返さなかったし、それを拾ったという事実も話さなかった。それが過ちだということはわかっていた。彼女をだましているという思いもあった。何度か打ち明けようともした。しかし怖かった。友達がみんなバラバラになってしまったように彼女も去ってしまうような気がした。僕の失敗と過ち、できそこないの心と不安を知ってしまったら彼女が僕を好きになってくれないように思えた。彼女を喜ばせたかった。笑顔にしたかった。彼女が喜ぶたびに、僕は少しだけいい人になる気がした。そして今、ひとつだけ残っている。“伝えられなかった本心”という花言葉を持った花。オーナーは8月30日という言葉に難色を示した。その日までに花を準備するのは難しいと言った。しかしその日でなければならなかった。その日、ヤンジ川の川岸で花火大会が予定されている。夜空にはじける花火を見ながら告白するつもりだった。彼女の好きな時間に、彼女の好きな場所で、好きな花を渡しながら僕の気持ちを話すつもりだった。
ソクジンを前にしてぎこちないジョングクちゃん、不穏だ!(いいぞ!)自分を轢いたのがソクジンでは?と思っているジョングク。この時点では誰がジョングクを轢いたのかはわかっていない。しかし、ジョングクはソクジンを怪しんでいる。ソクジンはジョングクにまさか自分が轢いたと思われているなんて微塵も考えてないと思う。もし本当に轢いていたらすっかり緊張して、って思う?サイコパスならありえるけど今まで特にサイコパス描写なかったしノーサイコパスだと思う。ジョングクがソクジンを疑う理由とかは書かれてないんだけど、事故に遭ったのってキム三兄弟が喧嘩した日のことで、校長にアジトの教室をチクったと知った日なんだよね。ジョングクからしたらソクジンが自分を殺そうとした理由が少し出来上がってしまっている。NOTESにはないけど、WEBトゥーンではジョングクが飛び降りた先がソクジンの車の上だったり結構むごいシーンがあって、ジョングクの死にソクジンが関わっているような描写があったりする。ジョングクとソクジンも特別仲が良いってわけでないだろうから、なおさら猜疑心を抱くんだろうな。しかもソクジンとユンギって微妙に距離あるっぽいし。ていうかもしソクジンがジョングクを轢いていたら、ユンギが黙ってないと思う。なんか…殴ったりすると思う。たぶん。父親に“良い子”であることを強要されて育ったソクジンは、何度ループしても全員を助けられなかった。ようやく助けたと思ったらキム三兄弟の喧嘩により結局みんなはバラバラになってしまう。父親の望み通り生きることもできず“良い子”になれない、友達にとっても自分がした過ちのせいで“良い人”にはなれなかった。しかし女の前では自分を偽り、隠すことで彼女が喜び自分が“良い人”であるかのように思える。こんなの切なすぎるだろ…。ていうかこの日のソクジン、ソクジンペンのわたしはわりとつらかった。過激派でごめん。ソクジンと片耳イヤホンわたしもしたい。身長差あるから僕が少しかがまないといけないのつらいんだけど?って笑われたい。したいことをノートに書いて線路に落とせばいいわけ?NOTESでイヤフォンって書いててちょっと笑っちゃったっていうビハインドは置いといて、ここで花様年華のキーパーソン?いや人じゃないからキーフラワー?のスメラルドが出てくる。花様年華といったらタイムリープとスメラルドみたいなところあるじゃん。NOTESの終盤、ここでようやく主役のお出ましだ(?)。スメラルドの考察や謎については別記事にしているので少々お待ちを!スメラルドの記事はほぼ書き終わってるので近々公開するよ!もちろん長文だよ!ていうか現実世界では自分のことをWWHというソクジン、その通りなんだけど実際のキムソクジンもあまり自己肯定感が高くなくて、花様年華のキャラクターに少し寄せているのかなと思う。顔もスタイルも性格もきっと良くて、何でも持っているように見えるじゃん。でもヒョンはダンスが上手くなった!とか努力をして得た才能を褒められると耳を真っ赤にして「いやいや…」ってなるじゃん。顔の良さは努力をして得たものではないから肯定するけどダンスや歌については人の何倍も、寝言で謝罪するほど努力して得た才能で…ちょっとまてよ。これ以上は長くなる予感しかしないし人物考察になるのでやめておこっと。キムソクジンはいい奴です。

22.08.29 テヒョン
「みんな、花火大会に合わせて時間を作ってくれ」ホソク兄さんの言葉に全員が同意した。ナムジュン兄さんはアルバイトが終わってから行くという返事で、ソクジン兄さんは先約があるが遅くなっても行くとのことだった。そのメッセージを見た瞬間、夢を思い出した。ソクジン兄さんが見ている中、1人の女性が事故で死ぬ夢。その夢の終わりが花火大会だった。白い花火が夜空から降り注いだ。想念を振り払おうと頭を振った。待ち合わせの場合はナムジュン兄さんのコンテナだった。なかなか寝付けない時や、父の酒癖がひどく耐えかねて夜の街をほっつき回っている時、脚がそっちに向いた。以前のようにドアの前まで行ったり、長く居座ったりはしなかった。駅の近くを通る時、ちらりと振り向く程度だった。でも、そのたびにコンテナに明かりがついていた。それが妙だと思ったのはつい最近になってからだった。どの時間に行っても明かりが消えることはなった。兄さんが眠っているはずの時刻にも明かりがついていた。俺はふと悟った。“いつでも来い”という合図だった。そう考えるだけの根拠などはなかった。それは確信に近い推測だった。それなのにすぐコンテナのドアを叩いて中に入れないのは、何をどう話せばいいか分からないからだった。
ナムジュンの合図は、テヒョンには届いててそれだけでも救い。テヒョンの夢の話、嫌な予感するよね。今度は7人の誰でもない人が死ぬ夢。しかも花火大会のあと。テヒョンの夢についても別記事にしてるよ!それも近々公開したいとは思ってるけどあれもこれも追記しちゃってぐちゃぐちゃだから校正してくれる人いたら手挙げて!わたしのおもしろい誤字が見れるよ!(?)お賃金いただいているわけでもないのに、いくつも記事待機させてて意味わかんな。

22.08.30 ソクジン
かろうじてスメラルドを受け取った。約束時間が過ぎ、焦って時計をのぞきこんでいると幸い、彼女より先に配送車が現れた。フラワースメラルドというロゴが書かれたトラックにはフラワーショップのオーナーが乗っていた。「花火大会で橋が渋滞していて遅くなりました。すみません」花を注文した時に頼んだカードがないことに気付いたのはトラックが去った後だった。急いで電話をした。「ああ、すぐUターンしますね。幸い、今信号が青に変わりました」オーナーの言葉が終わるより先に向こうの交差点から彼女が歩いてくるのが見えた。
注文したカードにはなんて書いてるの!!!!!??って疑問で頭がいっぱいで考察できないから次のソクジンのターンにまとめるね。

22.08.30 ジョングク
線路に着いたのは約束時間のかなり前だった。コンテナに入っていようかと思ったが、線路を渡りプラットホームの一角に腰を掛けた。久しぶりに兄さんたちに会うのだが、うれしさや期待より少し複雑な気持ちになった。事故が起きた日の記憶が何度も浮かんだ。コンテナに最初に着いたのはジミン兄さんだった。ドアを開けて中をのぞいたが入らずに背を向けた。プラットホームを降りて線路を横切るとユンギ兄さんが現れた。いつものゆっくりとした足取りで地面を見ながら歩いていた兄さんがふと振り返った。誰かに呼ばれたようだった。後ろで両手いっぱいに何かを持って立っているのはホソクにいさんのようだった。さらに複雑な気持ちになった。確かにうれしかった。それなのに、手放しで喜んでばかりはいられなかった。僕は、兄さんたちが、そしてこんなふうに一緒に過ごす時間がどれほど好きだったことか。このまま帰ろうと思った。その時だった。1発目の花火が夜空に打ち上がった。
ジョングクはソクジンが自分を轢いたと疑っていて、ユンギについてはお見舞いにすら来てくれていない。本当は来ていたけど話せてない。入院中にY.K.と書かれたライターを見て、お見舞いには来ないけど、どこぞの女と仲良くやってたんだって思ってる。そら来ても楽しく過ごせるとは思えないよね。でも末っ子でジョングクはかわいいから(韓国在住・ミンユンギ)ユンギを見てうれし…ってなっちゃうんだよね。本当にヤンコチかわいい。WEBトゥーンでもこういう描写がある。物語の最初の方でユンギ兄さんと連絡取ってるか?って聞かれただけでうつむいて「何でですか…」って言うシーン。かわいいね。それだけジョングクにとってユンギは特別な存在で良くも悪くも影響を与えてるんだけど、それは依存でちょっとしたことが原因で関係は崩れる。そのフラグが今ビンビンです。みんなと過ごす時間が全てで、兄さんたちが家族で、なのに…ってなってるのにかたや兄さんたちはホソクでさえジョングクの不穏さには気付いていない。ユンギなんてたぶん一生気づかないよ。

22.08.30 ソクジン
Uターンした配送車が急停車した。ぶつかり、跳ね上がり、落ちた。その全ての騒々しい瞬間の前で僕は無防備に立っていた。道路に沿って何かが転がり落ちる音がした。すると、花の香りが漂った。ようやく少しずつ現実感が戻った。スメラルドの花束が僕の手からバサッと落ちた。彼女が向こうの道路の真ん中にいた。倒れた彼女の髪の間から血がにじんで広がった。赤黒い血が道路に沿って流れた。パンという音とともに、向こうの夜空で花火がはじけた。どこからか、ガラス窓の割れるような音が聞こえた。
映像で見た時、鳥肌どころか全身に剣山ぶち立ったよね。文字で詳細を見るとさらにきつい。皮肉にもスメラルドの花言葉は“伝えられなかった本心”なんだよね。直前にホソクやユンギが比較的わかりやすいLOVE YOURSELFをしているんだけど、ソクジンはどう見てもしてないからきっと悲劇になってしまったんだと思う。女の日記を拾って相手の思い通りに、いわば仮面をかぶって過ごした、弱い自分と向き合わなかった。スメラルド目線からすると(?)、相手を愛す前に自分自身を愛しなさいよってことだよね。だよね?だよ。ソクジンはまず自分自身に向き合わなければならない。でないとLOVE YOURSELFに繋がらないと思う。関係ないけど、ノヴァーリスという人の青い花っていう本があるんだけど内容が『夢で見た青い花に憧れて旅をして、その旅の途中に出会った人々を通して自分自身が成長していく』みたいな詩集とも小説ともつかないよくわからない本があるんだけどそれを思い出した。思い出しただけで関連することは何ひとつも無いんだけど。なら言うなって話だよね。青い花ってよく“不可能”とか“無情”の意味があったりするし、スメラルドにもそういう意味が含まれているのかな。ループするトリガーについては今まで詳細がなかったと思うんだけど、誰かが死ぬことでループが発生しその合図がガラスの音なのかな。

22.04.11 テヒョン
目を開けると明け方だった。体を起こすと背中と肩がズキズキ痛んだ。コップに水を注ぎ、手に持って外に出た。適当に靴をつっかけてゆっくり歩いた。線路沿いを歩いた。1つ、2つ、3つ、4つ。後ろから4つ目のコンテナの前で立ち止まった。ナムジュン兄さんのコンテナだった。ドアノブに向かって手を伸ばしたが、つかまなかった。兄さんがまだ眠っている時間だった。前夜の夢は悪夢に違いなかった。水をひと口、飲んで引き返した。夢の中でこの一体が炎に包まれていた。熱気のせいなのか、夢だからなのか全てのものが大きく揺らめいていた。誰かの悲鳴、何かがぶつかる音、泣き声、ガタガタと崩れ落ちる音などが1つに混じり合い、襲いかかってきた。遥か遠くで揺らめいていたそれらの場面は突然、猛烈なスピードで近づいてきた。炎に包まれていた目前の光景が、急に人々の後姿をかき分けて入り込み、急停車するように止まった。後ろから4つ目のコンテナの前、ナムジュン兄さんのコンテナだった。ドアが外れていた。血痕があった。その後ろに炎が燃え立った。人々が1人、2人と避けた。床が露わになった。兄さんが横たわっていた。誰かが言った。「死んでる」目を開けると家の天井を見上げていた。父のいびきが聞こえてきた。急に掌が痛んだ。蛇口をひねり、冷たい水に手のひらを突き出した。手のひらに水が流れ落ち、ひりひりした感覚が伝わった。その水をコップに入れて1杯、飲んだ。夢だった。悪夢だった。
2022年4月11日、ルールの起点の日。初めての4月11日なのか、それとも何度目かの4月11日なのかはわからない。ソクジンの女(MAX語弊)が轢かれてループが起きたのか?すべてが謎。しかしテヒョンが見る悪夢は変わっていて、今まで死亡フラグが立っていなかったナムジュンの死を連想する内容。だから今まで、ソクジン以外の6人の中でナムジュンの悲劇レベル低かったのはここで56すため?こっわいね。テヒョンの手のひらの痛みも、すでに瓶で怪我をしているのかこれから怪我をするという警告なのかもわからない。わかるのはまた4月11日ということ。謎しか残されてない。









誤字等、おかしな日本語は後日ちゃんと修正します。4/13ある程度は修正しました!でも5万字なんて読んでられないので見つけたら連絡ください!最初は4万字いくかも!!と思っていた記事が5万字越えブログになってしまいました。なんで?こわいよね。
締めの言葉も書いてたんだけど一旦消した。なぜなら本日2022年4月11日、スメラルドのIGが動き出したから。まさかね~と思いながらフォロリクしてたんだけど、承認されてすぐ見に行ったらこれだよ。海、5月22日って何ですか。ナムジュンのIGにあったHerの5月22日は何ですか。コンセプトはチャコじゃなかったんですか。虎、狩ってくれよ…。興奮、混乱が少し鎮まったらこの記事に少し追記する予定(まだ書くの?)4/13誤字修正ついでに一部加筆しました!

次回はMV考察記事をあげるつもりだったんだけどスメラルドIG動き出しちゃったしスメラルド記事に変更するか…。わたしの花様年華考察はいつ終わる?ったく…。楽しいぜ…。